2021,05,22着手 2022,07,01 再着手
Li 電池駆動デサルフェータの検討
我が団地の立体駐車場には商用電源が無いので自作した充電機能付きデサルフェータが使えない。
その為に電源が在る場所へ出掛けた際に充電機能付きデサルフェータで結晶化硫酸鉛を溶かしていた。
このところ電源が在る場所へ出掛ける機会が減ったのでCCAが低下してきた。
そこで電源の無い立体駐車場でも使えるLi 電池駆動デサルフェータの検討を始めた。
1、Li二次電池 18650の容量確認実験
1-1 18650の購入
Li二次電池について知識が全く無いので、先ず買って試した。
大容量のは値段が張るので廉価な2600mAhの電池をヤフオクから3本購入した。
流通している18650電池には同一型番でも長さの違う二種が存在するので要注意だ。
理由は保護回路無しと在りの違いだ。保護回路無しは長さが65mm、保護回路付は69mmだ。
紛らわしいので型番を変えるとか、型番の最後尾にPをつけるとかの工夫が出来ないのだろうか。
自分は安全第一で保護回路付を買った。ネットでバッテリーホルダーを買おうと探したが、
何故か殆どは65mm用だった。僅かに69mm用も在ったが仕様が合わなかった。
仕方なく我がBear Upgrade Prusaで造形することにした。
下の写真は3Dプリンターで造形したバッテリーホルダーへ18650電池を入れようとした様子だ。
隙間に余裕が無くキチキチだった。強く押し込んだら入ったが、今度は指先では外れなくなった。
仕方なく電池ホルダーの底部から細い棒を入れて押出し、取り出しに成功した。
18650電池の寸法誤差が大きいのではと疑い、寸法を測ったら直径が18.7mmも在った。
18650の規格では直径は18.0mmなので0.7mmも太いのでキチキチなのは当然だ。
その後、寸法を5%拡げて造形したらスンナリ収まる様になった。
1-2 充電器の購入
我が家に18560を充電できる充電器が無かったのでAliaxpressからXTAR VC4を調達した。
0.5Aと1Aの定電流で充電する。また各電池別の充電量が表示される優れものだ。
端子の部分がスライドするので長さが65mmでも69mmの電池でも充電できる。
満充電になるとFullと充電量が交互に表示される。
1-3 電池容量試験機の購入と評価
18650二次電池の容量を測るためにamazonから容量試験機(ZB2L3 3個セット)を買った。
下の写真の小さな基板がそれだ。押しボタンの操作で放電終了電圧を設定できる。
放電開始から終了までの電流を積算して電池の容量を求める仕組みだ。
その機能を試す為に可変電圧電源を電池の代わりに繋ぎ、
約1Aの電流を1時間継続して流し電圧を下げて放電終了にした。
下の写真は、991mAが流れている事を示している。
1Aを1時間流した結果が下の写真の表示だ。
991mAhと表示される筈だが、なんと2,020mAhと表示されてしまった。
この試験機は電流を積算した値の約二倍の数値が表示される。明らかなBugだ。
試験機は国内発送と思われる納期が短かった3台セットを買った。
他の2台も試したが、同様に2倍の値を示した。
再現性の在る誤差なので表示値を半分にすれば電池の容量が判る。
また放電装置としても使える。
1-4 18650電池の容量測定
充電器を使って各電池を満充電にしてから容量試験機で放電容量を測った。
放電終了電圧は2.7Vに設定した。電池に内蔵された保護機構も2.7Vで遮断する。
下の写真は#3の放電容量を測っている。5434を示しているので2717mAhだ。
容量試験機で空になるまで放電した電池をXTAR VC4を用いて再び充電した。
その際に充電容量が表示された。その結果は下表のようになった。
購入した3個の電池は何れも2600mAhを超える容量が在った。
注:電池の空は電圧が3.7Vまで低下した状態。
電池の満充電は電圧が4.2Vに到達した時点。
デサルフェータの回路が消費する電流を50mA程度と推定すると2昼夜程度は稼動できる見込みだ。
これならLi 電池駆動デサルフェータを実現できそうだ。
2、電子回路の設計 '2022,07,12 実施
電子回路は下図のようにした。基本的にはAlastair
Couper氏の回路を踏襲している。
パルスの生成や電圧の監視にはワンチップマイコンを使った。理由は馴れているし、豊富な機能と使い易さだ。
大昔のワンチップマイコンは耐熱温度が低かったが、PIC12F683は+125℃まで動くそうだ。熱の心配は無い。
電源に使った18650は過放電や過充電で劣化するらしい。そこで保護回路付を選んだので過放電の心配は無い。
鉛蓄電池の電圧が12Vよりも低かった場合には18650の電力が鉛蓄電池の充電に使われてしまうが、
3Aを超えた場合には出力端子に近いポリスイッチが遮断してくれる。
3、ケースの製作 '2023,08,08 実施
1年以上も放置していたプロジェクトだが身辺の雑事が解消し、作る気になった。
ケースは3Dプリンターで造形した。今の自分には、これが最も簡単な製作手法だ。
大きさは、幅67mm、長さ150mm、厚さ26mmだ。素材はPETGを使った
造形には約2時間を要した。スイッチが付いている部分の厚さは5mm、底は0.9mm、周囲は1.2mmだ。
強く掴むと撓むが、実用上の強度は問題ないだろう。
使用時の固定は、バッテリーを固定するボルトに引っ掛ける構造を考えている。
そのブラケットの部分も3Dプリンターで造形し、ビスで締め込む方式を想定している。
その為にM3のインサートナットを埋め込んである。
下の写真は、試用予定の部品を置いてみた仮組みの様子だ。問題ないのが確認できた。
4、ブラケットの製作 '2023,08,16 実施
デサルフェータを使う際に本体が不安定なのは嫌なのでバッテリーに引っ掛ける安定な構造を考えた。
使い終わったらバッテリーから取り外すので着脱が容易な形に工夫した。
それが下の写真のブラケットだ。これも透明のPETGフィラメントを使い3Dプリンターで造形した。
ブラケットの部分は厚さ5mmで設計し、充填20%で造形した。この造形には1時間も掛かった。
下の写真は作ったブラケットをバッテリーへ取り付ける試験をした様子だ。
バッテリーを固定する金具に当たらない形に収斂するまでに5回も試作を繰り返した。
何とか実用できる形に纏まった。
ところが、このページを編集していて、デサルフェータとバッテリーを結ぶ電線を通す穴が無いのが判明。
失念したのだ。下の写真の様に再製作した。設計を間違えてもヤスリやドリルを使わずに
3D-CADの修正だけで済ませる事が出来る3Dプリンターは素晴らしい。
5、文字の記入 '2023,08,21 実施
最近は忘れっぽいのでスイッチのどちら側がONなのか忘れてしまうのは時間の問題だ。
そこでON-OFFを示す文字を記入した。マジックインクで記入しても良いのだが綺麗に書くのは難しい。
そこで文字を3Dプリンターで造形して張り付ける方法を試みた。自分には、これが最も簡単な方法だ。
3D-CADで高さ3.5mm、厚さ0.5mmの文字を造形した。
出来上がった文字をブラケットの適当な位置に押さえ、上からアクリサンデーを滴らした。
クリサンデーは粘度が低い溶剤なので文字とブラケットの間に浸み込み両者を溶かして接着した。
下の写真のようにONには赤を、OFFには青のフィラメントを使った。
アクリサンデーによって文字が軟化し歪んでしまったが我慢できるレベルだ。
6、極性表示の記入 '2023,08,22 実施
文字が記入できたのに味を占め、出力ケーブルの極性表示も記入した。
プラスは縦横7mm、マイナスは縦1.2mm横7mmだ。厚さは以前の0.5mmよりも0.2mm増やし0.7mmとした。
大きく厚くしたのでアクリサンデーの浸透による文字の歪みも感じられず良い感じだった。
負極の表示には黒色を使いたかったが、手元のフィラメントを使い切っていた。
仕方なく緑色を使った。黒色のフィラメントを
買わなければならない。
7、回路基板ホルダーの製作 '2023,09,03 実施
デサルフェーターの回路基板を新たに作るのは面倒だった。
そこでジャンク箱を探して見つけた昔の試作品を使う事にした。
当初は下の写真で左側を使おうと考えていた。それに合せてケースを設計し造形した。
ところが回路を点検したところ中央の基盤の方が電池駆動しやすい回路だった。
そこで方針を転換して中央の基板を使う事にした。しかしそれには固定用のビス穴が無かった。
ビス穴の無い基板を固定するためにホルダーを造形した。それが右だ。
造形した回路基板ホルダーへ基板を嵌め込みケースへ固定してみたのが下の写真だ。
残る作業は回路基板の改造と機能試験、そして配線だ。あと数歩で完成だ。