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   充電機能付きデサルフェータの製作

       最新記事:   2021,05, 09     14. 間違いだらけのデサルフェータ    2022,05,18 一部加筆
                                      2021,07,22     16.LEVOGE バッテリー5年間の能力変遷

                                        2022,09,19          LEVOGE バッテリー6年間の能力変遷
                                    2023,08,03     17.LEVOGE バッテリー7年間の能力変遷


 鉛蓄電池が劣化する主要な原因はサルフェーション(電極を覆う硫酸鉛の白い被膜)だ。
車用鉛蓄電池(バッテリー)の劣化を止める為に浮動充電しながらサルフェーションを溶かす装置をを作った。

その後、長期に亘る運用で優れたサルフェーション溶解能力が実証された。(実証例1実証例2実証例3)
また昨年( '16年 )にレガシーから乗り換えたレヴォーグでは白色硫酸鉛溶解能力の定量に成功した。

この充電機能付きデサルフェーターを適切に使えば廃車までバッテリー交換は不要になるだろう。

         

上の写真は、その蓋を開けた状態で撮影した。
右下の丸いのはチョークコイル。底部に在る黒い板はブリッジダイオードだ。

1. 製作の目的

1-1 国産車はシガーライター用ソケットから充電できない。
乗っていたVW POLLOが老朽化したのでSUBARU LEGACYに乗り換えた。
VWではエンジンキーが抜かれていてもシガーライター用ソケットから充電できた。

ところがLEGACYでは、車が停止中にはシガーライターの回路が遮断される。
そのため自作した充電アダプターが使えなくなった。
たぶん国産車は、どれでも同様と思われる。

1-2 Desulfatorのノイズが怖い
今度のLEGACYにはアイサイトという走行補助装置が付いている。
ステレオカメラを備えたコンピュータが衝突の危険を察知してブレーキを掛けるシステムだ。

車載電子機器間の情報伝達にCANーBUSというコンピュータネットワークを使い
ワイヤーハーネスの重量を軽減したのだそうだ。

コンピューターにノイズは禁物だが、Desulfatorはノイズ発生器のような物なので誤動作が心配だ。
もちろん充分なノイズ耐力を備えていると思うが、走行中にDesulfatorを使う度胸は持ち合わせていない。

走行中に使わないのなら駐車中に使う充電回路とDesulfatorを一つに纏めたほうが合理的だ。

2. 回路構成

以前作ったバッテリー機能回復装置(Desulfator)とバッテリー充電アダプターを一つに纏めた。


Desulfatorの出すパルスが充電回路に逃げては回復効果が弱まるので
充電側の+線へ直列に100uHのチョークコイルを入れた。
上の写真の右下の部品だ。

C2,C3,C4は0.1μF程度で充分だが、チップの0.1μFは胡麻粒くらいに小さく半田付けが難しい。
そこで少し大きな米粒大の1.0μFを使った

それらを100円ショップで買った3個105円のポリエチレン製ケースに収めた。
ケースの蓋には換気用の穴を開けた。

3. 運用

下の写真は使っている様子です。
バッテリーとの接続には蓑虫クリップを使っている。
        

本体の下に写っている電線の束はDC15Vの電源です。
ボンネットの隙間から電線を出して外部の100V電源に繋いでいる。

車を動かす度にボンネットの開閉をせねばならず面倒だが仕方ない。

車は去年(2011)の9月末に購入した。
今年に入ってからは殆んど動かしてないが、
この装置が動いている場合の電圧は13.7V程で安定している。 100%充電だ。


4. アイサイト

蛇足だがアイサイトについてひと言。
アイサイトを搭載したレガシーはぶつからない車とTVで宣伝されている。
それはそれで重要な機能だが、他にも素晴らしい機能がある。

全車速追従機能付クルーズコントロールだ。
スイッチをONにすると前方を走る車を捉えロックオンする。
コンピュータが適切な車間距離を保つべく車速を調整する。
そのため信号が無い道路ではアクセルもブレーキも踏まずに楽ちんで走れる。

渋滞してもトコトコと前の車について行く。
従前のオートクルーズが固定速度なのとは、便利さの次元が違う。

SUBARU以外にも同様の機能をミリ波レーダーで実用化した車があるが、
レーダーでは白線を読めない。
アイサイトのカメラは白線を読めるので車線を外すと警報音で注意を促す。

初めてアイサイトを使った時は、その素晴らしさに感動した。
もう全車速追従機能付クルーズコントロールの無い車を運転する気にはならないだろう。

それにしても
全車速追従機能付クルーズコントロールという呼称は如何な物か。
意味は正しいのだが、聞いても何だか判らない。

スーパークルーズコントロールとか
サイバークルーズコントロールのような
気の利いた名称を考えられないものだろうか。

5. 一年半劣化ゼロ    ('13,03,07 実施)

新車のレガシーワゴンを購入してから1年半経過した。
ディーラーの東京スバルから定期点検を知らせる葉書が届いたので
早速車を持っていって点検を受けてきた。

一時間程で点検は済み結果は総て正常だった。
走行距離が4800km程度と少ないし、丁寧に乗っているので当然だ。

半年毎に点検を受けているので今回で3回目だが、
過去2回では行われなかったバッテリーの診断が行われた。
下の写真は報告書に添付されていたバッテリーテスターのプリントアウトだ。

        

診断結果は「良好」だった。
プリントアウトの棒グラフは能力100%を示している。

使ったバッテリーテスターが内部のインピーダンスを測ったのか、
CCA(コールド クランキング アンペアー)なのか確認しなかったので判らない。

購入後1年半で4800kmしか走っていないので殆どの時間は車庫に停めていた。
通常このような使用状況ではサルフェーションが進む可能性が高い。
しかしバッテリーの劣化はゼロだった。

車庫に停めている間は常に充電機能付きデサルフェータを繋いでいた。
これがバッテリーの劣化を防いだのだろう。

しかし充電装置とデサルフェーターのどちらが効果的だったのか判らない。

点検ではバッテリーの液量もチェックし正常と診断された。
過充電の場合には液が減るのだが、減っていなかったので充電電圧(13.7V)が適正だと証明された。

自作した充電機能付き回復装置は狙いどおりの性能を発揮した。
手前味噌だが100点満点の出来栄えだ。

実は3ヶ月程前にエンジン始動ボタンの誤操作でバッテリーをカラカラにしてしまった。
これによって少しは劣化が進んだかと懸念していたが、悪影響は見られず安堵した。


6.  二年間劣化ゼロ    ( '13,09,09 実施 )

新車のレガシーワゴンを買ってから二年が過ぎた。
定期点検の案内が届いたので早速点検を受けた。
点検報告書には前回と同様にバッテリーの診断結果が添付されていた。
       

今回も診断結果は『良好』で能力は100%だった。走行距離は6003km。

殆どの時間は車庫に停めていたのでサルフェーションが進みやすい筈だが、
充電機能付きデサルフェータが阻止している。

7. 三年間劣化ゼロ  ( '14,09,05 追記 )

6月にディーラーが車検の費用を見積もりたいというので車を持っていった。
一時間程の点検の後に見積書が出てきた。

走行距離が1万キロ程度の車には必要ないと思われる作業が挙げられていたので良く見なかった。
中学生の頃に父が乗っていた『いすゞべレット』を整備していたので車の構造には精通している。

その見積書の後ろに点検記録があったが、今日まで気づかなかった。
それにバッテリーの試験結果が添付されていた。

       

今回も診断結果は『良好』で能力は100%だった。
走行距離は約1万キロだったので殆どの時間は車庫に停めていたにも拘わらず劣化はゼロだ。
デサルフェータの効果は素晴らしい。

8. 四年間劣化ゼロ  ( '15,10,02 追記 )

3月に半年点検の案内が在ったのだが、日頃から自分で点検しているのでパスした。
9月に入ってから1年点検の案内がディーラーから届いた。
必要性は感じてなかったが、法定だしオイル交換の時期だったので点検を受けた。
その報告書にバッテリーの試験結果が添付されていた。

                    

今回も診断結果は『良好』で能力は100%だった。
走行距離は約1万5千キロだったので殆どの時間は車庫に停めていたにも拘わらず劣化はゼロだ。

車を点検してくれた技術者が実施した内容を説明してくれた。
普通は、4年も経過した車のバッテリーが能力100%ということは無いらしい。
流石に不思議だと思ったらしく何か使っているのかと聞かれたので、
デサルフェータを使っていると説明したが知らないようだった。

9. 四年半劣化ゼロ ( '16,03,28 追記 )

ディーラーから半年点検の連絡が在ったので点検を受けてきた。
いつもと同じでバッテリーの劣化はゼロだった。

前回までは実家の車庫に停めて、駐車中は常に充電とパルスの印加を行っていた。
身辺を取り巻く状況が変わり、昨年の10月からは我が団地の立体駐車場に停めている。
商用電源が取れないのでデサルフェーターは使えない。

バッテリーが上がっては困るので2週間に一日程度の頻度で実家へ車で帰っている。
その際に24時間ほどデサルフェーターに繋ぎパルスを加えている。

10. 五年間劣化ゼロ ( '16,07,26 )

5年間乗った愛車レガシーを下取りに出す事になった。
レガシーは絶好調だが最新のアイサイトは機能の向上が著しい。
安全性が、お金で買えるのは凄い事だ。

そこで手放す前に東京スバルにお願いしてバッテリーのチェックをしてもらった。
結果は、いつもと同じで能力100% ( 劣化ゼロ)だった。走行距離は約2万kmだ。

                   

このところ団地の立体駐車場に止めておりAC100Vが無い。
そのためデサルフェーターを使う頻度が減って1ヶ月に24時間ほどになっている。
サルフェ-ションが進んだのではないかと心配していたが杞憂だった。

分厚く電極板を覆ったサルフェーションを溶かすには不十分かもしれないが
硫酸鉛の結晶化が進行する前ならば月に24時間程度で充分なのだろう。

新車から五年間、デサルフェータの働きでバッテリーの劣化は見られなかった。
お陰で真冬でも真夏でもスターターモーターの力強さは変わらなかった。
デサルフェーターは素晴らしい。



11. 先輩H氏の使用記 ( '17,06,13 )

サラリーマン時代に指導をして頂いたH先輩より下記デ・サルフェータの使用記と写真を戴きました。

                        記

現役時代一緒に仕事をしたOさんに3年前、同氏製作のデ・サルフェータ
(自動車用バッテリーの鉛電極に時間の 経過と共に形成される硫酸鉛被膜の除去装置)をいただき
新品バッテリーでの使用効果をご報告しましたが、あれから3年経過しましたので
その後(現在)の状況を改めてご報告致します。

1.事の起こり
  私の自動車の使用状況は2、3日に一度、距離にして3.3km(片道)の
  食料量販店を往復するだけで、高速道路を使った所謂ロング・ドライブ等は
  年に1、2回しか行なわないという、車にとっては過酷な状態です。
  従ってオイル、バッテリーには常時気を配っており3ヶ月に一度は
  オイル、フィルター交換と簡易点検をディーラーにて実施しています。
  
  去る2月末、上記点検を実施したところ車屋から
    「バッテリーがへたり始めていますね、次回あたり交換しませんか?」と言われたので、
      びっくりして普段殆ど使用しなかった(必要を感じなかった為)デ・サルフェータに
  再登場してもらった次第です。

2.充電器の改造
  バッテリーの新品当時は殆ど充電しなかった為、たまに充電する場合は
  自作の整流装置(電圧計、電流計付き)にスライダックをつなぎ充電当初の
  電流、電圧変化には手動でスライダックを調整して対処していました。
  
  しかしバッテリーが古くなってきたので今後は充電の機会が増えることが
  予想される為、スライダックの調整が面倒なので、これもOさん推薦の
  ACアダプタを購入し上記整流装置の中に電圧降下用のダイオード
  (2ヶ直列)を追加組み込みしました。(充電中の写真添付します)
     

3.デ・サルフェータの効果
  私の車はバッテリーに大容量のコンデンサ(体感出来る効果なし、ラジオの
  音質向上位か?)をいれてあるので写真のようにコネクターを外してから
  約10時間程充電し(デ・サルフェータ併用)翌日、車を動かしましたが
  体感出来る変化はありませんでした。
  
  
  そこで次に天気予報をにらんで(露天駐車の為)3日程、充電を継続したところ
  スターター・モーターの回転が明らかに俊敏になり効果がはっきり
しました。
  
  ちなみに5月末、オイル交換、簡易点検の為、車屋に持って行ったところ
  車屋に「バッテリー交換しました?」と聞かれましたので「いいえ」というと
  「おかしいな~、今回は新品と同じ性能に戻っている・・」と不思議がっていました。
  (面倒なのでデ・サルフェータの件は話しませんでした)
  
  大雑把なものですが車屋のチェックシート(5月末)の写真を添付します。
     


4.結論
  人間の老化現象(今、痛感しています)と同様バッテリーも徐々に劣化するので
  よほどスターター・モターの回転が鈍くならない限り気が付きにくいものですが
  劣化は必ず進んでいるのでご注意願います。
  
   なおOさんによればデ・サルフェータは長時間付けっぱなしにしておいても
  バッテリーに対する害は無いそうですので、私は今後、晴れている限り
  浮動充電(13.7V、0.2A程度を保持) + デ・サルフェータ使用を
  続けて様子を観察していくつもりです。

                         以上


管理人注記1:ACアダプターは秋月電子通商が販売しているスイッチングACアダプター15V3.34Aです。
       デサルフェータだけなら容量が小さなものでも充分ですが、充電器兼用の場合には上記が適しています。

管理人注記2:Webには、デサルフェーターをパルス充電と混同して高いパルス電圧を加えている作例が多数見られます。
       それらを長時間に亘って連続使用すると過充電となり電極板が劣化する恐れがあります。

11-1. 先輩H氏よりメール ( '18,06,29 )

デサルフェーターを提供した先輩H氏より貴重な情報を戴きました。
サルフェーション除去効果は確実だが、1週間に亘って連続使用して過充電になったそうです。
以下は届いたメールです。

5月27日 着信
貴「趣味の工作」を朝、昼、晩、拝見していますが(暇なので!)
ここ一か月ばかり更新されないので心配しています。
なにせ最近は子供の頃からの友人でご無沙汰していた人が
亡くなっていた・・等は珍しくなくなってきましたので!
歳はとりたくないものです。

話変わって自動車の半年点検(三か月に1回のオイル交換より
やや細かい点検をしてくれる)が終わりましたが行く前に
48時間デ・サルフェーター+充電をして、もっていったところ
いつもの自動車屋がバッテリーに関し「ありえない!!」と
不思議がることしきりでした。

6月28日 着信
最近のデ・サルフェーター(DS)の使用状況についてご報告致します。

このところ晴天続きなので充電+DSを1週間ばかり継続(実は繋いだ
のを失念していた)し昨日気付いて取り外す際バッテリーをチェック
したところインジケーターの小窓が液不足になっていました。

又私のバッテリーは硫酸注入口についている小穴に蒸発抑制用の
テープが貼ってありますが、それが膨らんで耳を近ずけると微かに
シュー・・という音がしていました。
明らかに過充電の症状です。直列のダイオードは正常で電圧は13.7V
電流は200mA程度でした。

直ちに充電を中止し純水を規定量まで補充したところ全く問題は
ありませんでした。テープも貼り換えました。
結論として貴兄がホームページで書かれているように月1回24時間~
48時間程度「充電+DS」すれば十分のようです。
夏の炎天下で1週間以上もつけっぱなしにしておくと過充電風に
なることもあるようです。
とりあえず近況のご報告まで。

以前に5年間に亘って乗っていたLegacyでは、停めている時間は常に充電付デサルフェーターを使っていた。
それでも過充電にはならず、下取りの際のチェックでも能力は100%だった。
車の種類によって停車時の電力消費が異なるのと電池自体の自己放電が違うので過充電になりやすい車と
過充電になりにくい車が在るのではと推定している。

12. Levorg CCA の記録 ( '18,04,24 )

2016年の9月にLegacyから新車のLevorgに乗り換え1年7ヶ月を経過した。
その間の充電機能付きデサルフェータの使用よるCCAの変化を測定した。
なお上記診断機には温度補正の機能が無いので別途温度を測定しExcelで補正計算をした。

下の図は、新車が届いてから現在までのCCAの変化をグラフ化したものだ。
図中の黒い数字はデサルフェーターを使った時間だ。


駐車中は充電機能付きデサルフェータを繋ぎっ放しにするのが理想だが、
借りている団地の立体駐車場にはAC電源が無い。
そこで電源が在る場所へ出かけた際にバッテリーのCCA測定と
充電機能付き デサルフェーターを使ったリフレッシュを行っている。直近は4月20日だ。

グラフで見ると充電機能付きデサルフェータを使った日にCCAが急激に回復している。
充電機能付きデサルフェータの優れた白色硫酸鉛溶解能力に疑念の余地は無い

興味深いのはCCA低下の傾斜だ。いつも同じような勾配で低下している。
車のバッテリーは時間を累積するようにサルフェーションが進み劣化するのが読み取れる。

レヴォーグに使われているバッテリーの公称CCAは620Aだ。
それに対して今回の測定では690Aを記録した。これは測定誤差と思われる。
バッテリー診断機は鰐口クリップでの接触抵抗が誤差になってしまう。
測定原理が2電極法なので、特に低抵抗領域では接触抵抗の影響が増大する。
しかしバッテリー診断機の本来の目的は劣化の把握なので、
新品に近い状態のバッテリーで測定誤差が増えるのは仕方ない事だろう。

13. K氏バッテリーの記録 ( '19,02,22 )

17年の4月頃に友人K氏の為に充電機能付きデサルフェータを作った。
先日、そのK氏から2年近くに及ぶCCAの膨大な記録を頂いた。
そのデータを纏めたのが下のグラフだ。バッテリーの型式は60BL24で定格のCCAは400A強です。

CCAとは、寒冷時にエンジン始動する際にバッテリーからスタータモータへ流せる電流
の意味でバッテリーの健全性を計る目安だ。数字が大きいほど優れている。


縦の線が沢山並んでいる。その線が切れている部分が充電機能付きデサルフェータを使った所だ。
頻繁に充電機能付きデサルフェータを使っている。
当たり前の事だが、急激にCCAが回復しデサルフェータの機能が実証されている。

興味深いのは18年の1月頃だ。
CCAが急激に低下し280A付近で安定している。デサルフェータを使っても少ししか回復していない。
これはサルフェーションではなく電極板の故障だと思われる。
バッテリーはエンジンを始動するたびに大きな電流を供給するので電極版にストレスが加わる。
これが累積すると電極版が故障し寿命となる。サルフェーション以外の主要な故障原因だ。
長期間に亘って使った 古いバッテリーで発生しやすい故障だ。

K氏に何年間使ったのか問い合わせたところ約10年との事。なるほどと納得した。
当人は17年頃に寿命だったが、デサルフェターによって延命出来たと考えているそうです。
CCAは落ちても車の使用感は良好だったとの事。最近、車を乗り換えたそうでです。

ちょっと気になるのは、デサルフェータが電極故障を誘発した可能性だ。
以前に乗っていたレガシーでは5年間に亘って連続使用していたが問題は無かった。
よって今回の電極故障とデサルフェータは関係ないと考えているが真偽はわからない。

14. 間違いだらけのデサルフェータ ( '21,05,09 )

過日読者からメールを頂いた。
「趣味の工作」でデサルフェータを長期に亘って実験しており信憑性が在る。売らないかとの内容だった。
作って売るのは面倒な作業なので御断りしたが、 どうやら世間的にはデサルフェータの効能を信じておらず
オカルト的な物と見られているらしい。

そこでWebに在るデサルフェーターの製作記事を調べたところ沢山の間違いが見つかった。
しかも間違いの在る製作記事を鵜呑みにして真似した作品が多く間違いの連鎖のような状態だった。

自分のデサルフェータでは定期点検で要交換と指摘されたバッテリーでも3昼夜程度で復活した
通常は一昼夜程度の期間デサルフェータを使いバッテリーチェッカーでCCAを測れば有意差がを見える。
しかしWebに在るデサルフェーターの製作記事では一ヶ月使って改善が見られる程度の物が多い。
このような低性能ではオカルトと見られても仕方ない。

そこでWeb上に在る回路図を調べて低性能の原因を探ったところ、以下のような間違いが見つかった。
低性能の主因は、パルス充電との誤解とL2の位置の間違いだ。

14-1 パルス充電に非ず
多くの作例でデサルフェータをパルス充電だと誤解している。
”電圧の高い強力なパルスで・・・・・”などと的外れな事を書いている作例がある。
結晶化した 硫酸鉛の白い皮膜に高電圧のパルスで穴を開けて充電するイメージなのだろう。

それらの回路の多くはAlastair Couper氏の回路を参考にしている筈なのだが。
Alastair Couper氏の説明の中に硫酸鉛の分子に共振周波数があり2~6MHzだと書いてある。
つまり硫酸鉛の分子を高周波で揺さ振って電解液中に溶かすという事だ。
何処にもパルス充電とは書いていない。このパルス充電との誤解が低性能に繋がっている
つまり殆どの人は回路図を見ているが読まず、説明を理解してないらしい。

下の文と回路図はCouper氏の説明の抜粋だ。無駄の無い優れた設計で勿論何も手を加えていない。



14-2 C4が過大で種類の選定が不適切
Alastair Couper氏の設計では100uFのアルミ電解コンデンサで低抵抗(Lo-ESR)品と指定している。
これに通常品を使っている作例が多い。その場合ESRの為に電解コンデンサが発熱する。
発熱によってチョークコイルに蓄えた電力の損失が増え性能が低下する。

前述のパルス充電との誤解からC4を大きく増量した作例が沢山ある。
470uFが一般的で中には1000uFを使った例も見られた。
C4を大きくするとパルスの先頭の山が大きくなるのだが、正負が非対称なので直流分を含む。
その直流分でバッテリーがパルス充電されるのだがサルフェーションの溶解に寄与しないと思われる。

チョークコイル L1に蓄えた電力がC4を通じてパルス充電に使われるので、
サルフェーションの溶解に使われるリンギングを発生させる電力が減り性能が低下する

C4の役割はリンギングの高周波を通す道だ。平滑回路ではない。
自分の場合には高周波での性能が良い47uFの積層セラミックコンデンサを2個並列に使っている。
これが性能向上に寄与していると考えている。

14-3 L2の位置が間違ってる
Couper氏の設計ではL2はL1とGNDの間に接続されている。
これはL1で発生したリンギングの高周波がパルス信号発生部(555)へ
回り込み発振のタイミングを狂わすのを防ぐチョークコイルだ。
タイミングの狂いはジッタの発生なのだが、ジッタが発生しても一応動く。

そのチョークコイルの位置を下図の様に移動した作例が多い。
このようにするとパワーFETのゲートの寄生容量が1000pF程度あるので、
赤線で示した二つの高周波のループができてしまう。
それらで 白色硫酸鉛の溶解に寄与する高周波を無駄に消費してしまう。

これを避けるためにオリジナルではL1の直下にチョークコイルを入れている。
これでも+12V側に回り込むルートは阻止できないので、
自分は+12Vのルートにも小さなチョークコイルを入れた。

チョークコイルの位置を移動した作例では、何故かC4を470uFにしている物が多かった。
調べたところ Couper氏のデサルフェーターをパルス充電と誤訳した人物が、
L2の位置を変えC4を470uFに変えてWebで流布したようだ。
それにしても チョークコイルを移動した理由が判らないのだが、、
若しかするとチョークコイルとC4で平滑回路だと誤解したのだろうか。謎だ。

Blogの中にはCouper氏のURLを挙げているのに、他から引用したパルス充電に改造された回路図を掲げ、
各部品の機能を紹介し、挙句の果てに”L2の意味が解らない”などと書いている記事まであった。
回路図が間違っているのでL2の意味が解らないのは当然だ。その位置では意味が無い。取り払っても同じだ。



注:チョークコイルとは、直流を通過させ交流分を阻止する用途に用いる
  インダクターの別称で電気的には同じ物です。
   Couper氏の文章でもインダクターとチョークコイルを使い分けています。

14-4  小さなL1で電力が無駄
リンギングを発生させるチョークコイル L1に外形の小さい物を使っている作例が見られる。
小型のチョークでは巻かれている電線も細いので端子間の内部抵抗が大きい。
例えば秋月電子で売られている220uHで1.1Aのチョークコイルの場合、内部抵抗は340mΩだ。

バッテリーの内部抵抗はサルフェーションの進行具合によって変わる。
自分のLevorgの現状は10mΩ前後と思われる。これにデサルフェータを繋いだ場合には、
チョークコイル L1で発生した振動電流は内部抵抗340mΩを通じて10mΩへと流れる。
チョークコイル L1に貯めたエネルギーの97%はチョークコイルの発熱に浪費される

自分は220uH 5Aのトロイダルコイルを使っている。内部抵抗は100mΩ程度だろう。
この場合にはバッテリーに流れる電流は数倍になる。

Couper氏のデサルフェーターは小さなラジアルタイプのチョークコイルを使っている。
デサルフェーターの用途は太陽光発電で使う鉛バッテリー用だ。
常時接続しているので僅かなリンギングの力で充分なのだろう。
車に使う場合には、車載でも非車載でも短時間で効果を出したいのでチョークが大きい方が有利だ。

14-5 不適切な加速試験でバッテリーを破壊
Web上にはバッテリー充電器を併用し充電しながらデサルフェータを試した例が見られる。
そのような方法でCouper氏式デサルフェータを試すと過充電になりバッテリーを壊す恐れがある
過充電になると電極が崩落容量が減る。更に過充電が進むと崩落した電極材が極間を短絡する。

下の写真は12年前に自作したCouper氏式デサルフェータのバッテリー端子での電圧波形だ。
明るく示した先頭のパルスは17.5Vに達していて上下非対称なので直流分でバッテリーが充電されるパルス充電だ
デサルフェータをパルス充電と考え C4に100uFよりも大きなコンデンサを使った場合には先頭パルスが更に大きくなる。


バッテリー 充電器はバッテリーを満充電にすべく14.5V付近の電圧を供給する。
サルフェーションが進んだバッテリーでも時間を掛ければ満杯になる。
満杯になったバッテリーに14.5V以上のパルスが加われば過充電になりバッテリーを壊す。

Web上には、これでバッテリーを壊したと思われる実験の記事が散見される。
当然だが実験の結論はデサルフェータに懐疑的だ。
不適切な回路、不適切な実験でデサルフェータがオカルトになってしまうのは残念だ。

自分の場合には15VのSW電源を使い、Siダイオードを直列に2個入れて
13.8Vで試験を行うので過充電になりにくい。


14-6 強力で高い周波数のパルスは危険?
今、Li 電池駆動のデサルフェータの検討を進めている。
その参考にしているのがDave Barker氏の記事だ。下記はその抜粋だ。
内容はCouper氏の説明と殆ど同じだが、Couper氏の説明には無い情報が在った。
それはバーストパルスの幅を周期に対して低くして鉛板の歪みを防ぐと在る。



注入する電気エネルギーを大きくすると鉛電極板の温度が部分的に上がり膨張して歪むらしい。
それによって電極板と電極板が短絡し回復できない故障になる。
つまり”強いパルスを高い周波数で・・・”というのは危険と言う事なのだが、
どの程度の電力まで許容されるのか判らない。

個人的には、硫酸鉛が固体からイオンへ変わりバッテリー液中に移動する速度は
数メートル/秒程度といわれているので、
パルスの周波数を上げても効果は少なく電力の無駄と考えている。

14-7 CCAテスターの温度誤差
鉛バッテリーの端子電圧は電力を消費しなくても温度によって変わるのでCCAも変わる。
信憑性の在るデーターを得るためにはバッテリーの温度を測らなくてはならない。

Webにはバッテリー診断機の使用前と使用後の写真を掲げているのが見られるが、
測定温度を表示している例は見られず信憑性が充分でない

自分が使っているバッテリー診断機には温度を測定する機能が無い。
市販の殆どの診断機にも温度測定機能は無い様なので正確なCCAは測れない。
つまりバッテリー診断機は名前が示すように測定器と言うよりも良否判定装置なのだ。
自分の場合には赤外線温度計を使ってバッテリー本体の温度を測り、下記の計算式で補正している。

   温度補正CCA = 測定CCA/(0.006*T+0.85)

この計算式は蓄電池メーカーの資料から自分が導き出した。
10年近い測定データの収集でグラフの線が繋がるので正確と断言できないが、遠くない値を出していると思う。

14-8 高周波の道
Alastair Couper氏の回路を見るとL1で発生した直流パルスはL1・・D1・・バッテリー・・C4・・L1のループを巡る
のが読み取れる。しかし高周波が辿る道が見えない。その為にパルス充電との誤解を招いている。


電力用ダイオードD1が高周波の邪魔をしてリンギングが通れないように見える。
実はダイオードD1には寄生する1000pF程度のコンデンサー成分がある。
L1で発生したリンギングの周波数が5MHzだとするとD1に寄生するコンデンサのインピーダンスは30Ω程度だ。
殆ど導通状態に近い。これによってリンギングも直流パルスと同じ道を辿る事ができる。

L1で発生したリンギングが電極版に到達しで電極表面の結晶硫酸鉛の分子を揺さぶりサルフェーションを電解液中に溶かして戻す。

Alastair Couperの回路設計は、実に巧妙で最小限の部品で構成されている。素晴らしい腕前だ。

15. 先輩H氏からのメール ( '21,05,25 )

自分が作ったデサルフェータを使って頂いている先輩からメールが着信しました。
早いもので使い始めてから8年にもなるそうです。

******** 以下に頂いたメールを紹介させて頂きます。 ***************

しばらく御無沙汰していますが、相変わらずお元気で公私にわたり
大活躍されていることと拝察致します。

貴「趣味の工作」で最近取り上げているデ・サルフェータの件
難しい理論は別にして効果のほどは、論より証拠で私のバッテリーは今年
6月で丸8年目に入りますがお陰様でピンピンしています。
幸い自宅には外部に100Vがあるので貴記事を参考にして私は
2週に1回48時間充電(デ・サルフェータ併用)しています。
過充電はありません。

話変わって
23日(日)に1回目のコロナ・ワクチン(ファイザー製)接種が
終わりましたのでご報告致します。
なお接種当日の必携書類は「問診票:記入済みのこと」「クーポン券:
貼り付けは係員が実施」「身分証明:マイナンバーカード、免許証
保険証等」の3種類です。

接種後の副反応は当日の夜中から翌日の昼頃まで注射をした
周りの筋肉(約5cmφ)に軽い痛み(運動をやりすぎた後の様な)
が、あっただけで倦怠感とか発熱(微熱)は全くありませんでした。
又、当日の晩酌は普段通り(いつもと同量)実施しました。(汗)
もちろん当日の問診医やインターネットで問題ない事は確認しましたが。

会場は小学校の体育館で1度に7人が接種出来るよう通路が7レーン
あり、ぼけた爺、婆にも対応出来るよう案内係が10人程、常時
見回っていました。注射時、問診票に時刻が記入されるので出口で係員に
渡しアナフィラキシー待機をしていると係員が計時をしてくれ時間(15分)
がくると名前を呼ばれます。出頭すると2回目接種の案内状を渡され
帰宅ということになります。
ことは非常にスムースに運び「せっかち」な私でも全く文句のつけようが
ありませんでした。

但しボケ爺(婆)には係員も、てこずります。(予想済でしょうが・・)
たとえば案内状の封も切らずに(当然問診票未記入)もってきて係員が
代筆の為、質問をすると「耳が聞こえない」「目が見えにくい」から
始まり、注射時、肩が出しやすい服装(半袖など)で来るよう注意書
があるにも拘わらず長袖のぴったりした服装(しかも厚着)で来場し
脱がすのに皆でおおわらわ・・などといったところです。
明日は我が身とボケの恐ろしさを痛感した次第です。

ちなみに我々は2回目は6月13日(日)で予約済みです。
これで今回の騒動がチョン!になってくれれば有難いです。
ではご高齢の貴兄も、くれぐれも係員を煩わせないよう
しっかりご準備の上、接種日をお迎えください。ふふふ。
とりあえず、ご参考まで。

16. LEVOGE バッテリー5年間のCCA変遷 ( '21,07,22 )

9月に車検なので 愛車LEVORGの5年間に亘るバッテリーの能力(CCA)の変化をグラフに纏めた。
線が右下がりの部分はサルフェーションが進行している部分で、垂直の部分はデサルフェータを使った所だ。
直近では7月19日から30時間使用し、改善効果は概ね90Aだった。
バッテリーの定格CCAは620Aなので589Aは悪くない値だ。デサルフェータの効果は素晴らしい。

走行距離は5年間で1万6千kmだ。車庫に止めている時間が長いのでサルフェーションが進みやすい筈だが、
デサルフェータによる定期的なリフレッシュがサルフェーションの進行を止めている。
アイドリングストップはバッテリーの寿命を縮める恐れがあるので使わないようにしている。



2年目の中頃からデサルフェータの駆動パルス幅を変えた。
Power-FETのON時間を従前の6.0uSから2.0uSへと短縮した。周期は変わらず2kHzだ。
これによってバッテリーに加える電力は1/3に減った。

目的は先頭パルスのピーク電圧を下げ、パルス充電により過充電になるのを回避する為だ。
過充電にするとデサルフェータを使った直後はCCAがバッテリーの定格値よりも大きく測定されるようだ。
効果は在ったらしく2年目の中頃以降はCCAが650A以上にはならなくなった。

ちょっと気になるのは、4年目以降にCCAが下がっている事だ。
バッテリーの劣化も考えられるが、何らかの原因で測定誤差が増えたのではと推定している。
バッテリーテスターの鰐口クリップを嚙ませる位置や温度の測定誤差などが考えられる。
次の測定機会には注意深く慎重にやろう。

17. LEVOGE バッテリー7年間のCCA変遷 ( '23,08,03 )

新車を買ったレヴォーグが来月の車検で8年目を迎えようとしている。
走行距離は2.1万Kmで何の故障も無く快調に走ってくれる。
少ししか走っておらず殆どの時間は車庫に停めていたので何も対策をしなければ
2回程度のバッテリー交換をしている筈だが一度も交換していない。しかも大変に元気だ。
僅かな能力の低下は見られるが、実用上の問題は全く無い。デサルフェータの威力は素晴らしい。

下のグラフに新車で購入した時から現在に至るCCAの変化を纏めた。