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2021,02,04 初稿
EL Nikkor Reverse - Nikon F 変換アダプターの製作
Nikon製引き伸ばし機用レンズを逆付けでNikon Fマウントへ接続するアダプターを3Dプリンターで作った。
これをベローズと組み合わせて顕微鏡のような高倍率接写に使えるようになった。
注:上の写真ではEL Nikkorに3Dプリンターで印刷したフードを取付けています。
1. 製作の背景
「趣味の工作」の読者から
諭吉ホログラムベンチマークテストを教えられた。
1万円札のホログラムにNIPPONと印刷されている。
その矩形の画素の寸法が既知なので写り具合で撮影システムの解像力を評価できるそうだ。
Webを調べてみると先達が諭吉ホログラムベンチマークテストを試した記事が複数在る。
それらを読んでみるとベローズ、28mm レンズ、EL Nikkor 50mm F2.8、逆付けリングを組み合わせて撮影した例が多かった。
それらの機材を自分も持っている。興味が湧いたのでベローズ、Ai-S 28mm F2.8レンズ、逆付けリングで試してみた。
難航するかと思ったのだが一度目で成功した。下の写真はその様子です。
照明には安価な中国製のリングLEDを使った。カメラはNikon D7200です。
撮影した結果が下の写真だ。ホログラムには四つのNIPPONがある。
その中で一難小さい文字を切り出した。輪郭強調などの画質改善操作は行っていない。
このNikkor Ai28mmの結果に気をよくしてEL Nikkor 50mmでも写してみたくなった。
ところがEL Nikkor 50mmを逆に接続する為の変換アダプターが無いのでので写せない。
そこで3Dプリンターで造形する事にした。
2.バヨネット部の設計
過去にLeica L39マウントのレンズをNikon Fマウントへ接続する為のアダプターを造形し
Thingiverseへ掲示した。
その3D-CADの設計データを改造してEL Nikkor逆接続用アダプター設計した。
EL Nikkorの前側のネジ径が分からず40mmと41mmを作ったが合わず、最終的に40.5mmが良い感じだった。
ネジ部のピッチは0.5mm、長さは5mmにした。実測では3mm在れば充分な筈だが余裕を見た。
その後Youtubeの
Extreme Macro Using Reversed Enlarger Lenses
に
40.5㎜との表示が在った。自分の結論と一緒だ。
下の図は設計した形だ。3Dプリンターでオーバーハング印刷を避けるために2分割にした。
左側はバヨネットの爪と50.5㎜の雄ネジ部、右はフランジ部だ。雄ネジ部にフランジ部を被せ接着すれば完成だ。
2.印刷と組込み
設計したCADからデータをSTL形式で出力しCuraでGコードへ変換した。それを
Bear Upgrade PRUSAで印刷した。
使用したフィラメントはPETG、積層厚0.2mm、印刷温度245℃、ベッド温度70℃だ。
冬で室温が12℃と低いので温度を高めに設定した。
印刷した雄ネジ部にフランジ部を被せ、接着してアダプターは完成した。
下の写真は完成したアダプターをEL NIkkor 50mm F2.8へ捻じ込んだ様子だ。
ネジ山の直径やピッチには問題が無かった。しかし斜めに捩じ込みやすかった。
ネジのピッチが0.5mmだが積層厚は0.2mmと粗い。その粗いネジ山が原因だろう。
粗いネジ山には利点も在る。3Dプリンターの印刷は少し乱れる。粗いネジ山が、その乱れを緩和しているようだ。
問題はレンズからアダプターを外そうと廻した際に起こった。
取付けは問題なかったが外そうとアダプターを廻したらEL NIkkorの前玉群が緩んで外れてしまった。
もともとNIkkorのネジは前玉群を固定する目的で設けられているので緩むのは当然かもしれない。
仕方なく少量の接着剤を塗り前玉群が緩むのを防いだ。
4. 試写
完成したアダプターとEL Nikkor 50mmを使い絞りを5.6に設定してホログラムのNIPPONを撮影した。
使用したカメラの画素は横方向が6000だ。そこから600を切り出したのが下の写真だ。
撮影後には拡大も縮小もしていない。
撮影時にJPEGではなく非圧縮モードを使えば輪郭が明瞭になったのかもしれない。
Nikkor Ai28mmと
EL Nikkor 50mmで撮影した絵を比べると、
Nikkor
Ai28mmで撮影した方がNの文字が大きい。
これは焦点距離の違いによるのだろう。解像力は同じようだ。
このデータを
thingiverseへ掲示しました。