屋外での試聴  (2009,5,4)

円筒形SPは小さなSPユニットが上を向いている。
これによって点音源を模した球形の放射特性を得ている。

実際にはコーンの直径が8cm程ある為に周波数の高い部分で熱気球のような形になっている。
もっと小さなSPユニットを使えば更に真球に近い放射特性を得られるが、低音が乏しくなる。

また低音部は主に下の開口部から出るので球形ではないのだが、
人の耳は低音の指向性を感じにくいので実用上の問題は無い。

しかしスピーカーに詳しくない人は上を向いたSPユニットを見て
天井に当たって反射した音を聞いていると勘違いする人が少なくない。

友人の中にも円筒形スピーカーは盆踊りには使えないと言っている人がいた。
そこで実証試験を行った。下の写真はその様子です。



実験場所は茨城県の鹿島灘から内陸へ4kmほど入った処です。
良く言えば閑静な場所ですが、どこにでもある田舎の一区画で周囲を生垣に囲まれている。
4月上旬の風もない穏やかな日で人工の音は、たまに通る車の騒音だけです。
鶯の透き通った鳴き声だけが絶え間なく聞こえました。
写真の後ろに写っている花が咲いた木は姫こぶしです。実物は満開でもっときれいでした。

実験には、友人I氏が所有する円筒形SPをはじめアンプやDAコンバータ、cdプレーヤーを使った
我がシステムと殆ど同じで良い音が出るのは確認済みです。

試聴には過日のライブを聴いてファンになった武藤晶子トリオの 「 Dark Eyes II 」 などを使用した。
生演奏の余韻を覚えているので試聴には最適な選択だったと思っている。

音を出してみて普通に鳴るので拍子抜けの感があった。
強いて言えば、壁や天井からの反響が無いのでSPの特徴が明確に把握できるように感じた。
また我が家で聴くよりも低音の量が増したようで、高音と低音のバランスが改善されていた。

天井や壁で反射してくる高音が無くなった事によるのか、
地面が床よりも低音を吸収しにくいためか判らないが、
スピーカーを置く環境が音に大きな影響を与えることを痛切に感じた。

どれほど離れた場所で音楽が聴きとれるのか歩きながら調べたところ
30m位なら良い音で聞こえ充分に楽しめるのが判った。

円筒形SPの音は音量が小さくなっても鮮明に聞き取れる。
音のタイミングが正確に再現される為だろう。
ちょっと贅沢だが盆踊りには最適のスピーカかもしれない。