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2025,04,01 開始
FXー502J ディジタルアンプの改造記
サラリーマン時代の先輩が、FX502Jが遊んでいると言うので貸してくれた。
先輩は自作したTA2020Kitのディジタルアンプで音楽を楽しんでいるのだが、FX502Jの音が好みでないらしい。
どのように改造しても構わないそうなので、改良したほうが良いと思われる部位が見つかった場合には改造する予定だ
(1) 出力波形の観測
FX502Jの入力に関数発振器を接続し、三角波を入力し出力をオシロスコープで観測した。
負荷は4.7Ω10W のセメント抵抗を使った。周波数は1KHz、500Hz、100Hz、50Hz、30Hzだ。
観測の結果、100Hz以下で高調波(倍音)のタイミングが遅れる傾向だと判った。
オーディオ界では人の耳は倍音の位相ずれには鈍感との説もあるが、狂わない方が好ましい筈だ。
以下の図は観測した結果だ。なお記録紙に在る日付はバッテリーが切れている為に狂っている、
(2)入力増幅回路の利得測定
FX502J ではD級アンプのICにTPA3116が使われている。
入力信号は直接にTPA3116に入るわけではなくOPアンプを使った前段増幅回路に入り
そこからTPA3115に入る。
波形観測での倍音の遅れは前段増幅回路によるものでは無いかと疑った。
我がオーディオシステムでは入力信号の電圧は2V P-Pなので、
これで賄えるならば増幅回路は撤去したい。そこで増幅回路の利得を測った。
以下の図は利得測定の結果だ。出力電圧は入力の僅か2.8倍だった。
(3) 前段増幅器の撤去
前段増幅回路が無くてもスピーカーを駆動できる出力電圧が得られるのであれば
前段増幅回路は音質悪化要因と思われるので撤去すべきだ。
自分が使っている直立円筒バックロードホーンは能率が高いので前段増幅回路は不要だが、
何れ返却する先輩は大きなウーファーを備えた3WAYのスピーカーを使われているので出力不足の可能性が在った。
本機を貸してくれた先輩は音量ツマミに油性ペンで印を書き込んでいた。
その位置を読むとかなり小さな音で聞いているようなので前段増幅回路を撤去しても大丈夫そうだった。
このアンプは前段増幅回路のOPアンプにソケットが使われていた。
そのOPアンプを引き抜き電線を差し込んでOPアンプの入力と出力をバイパスした。
また入力のカップリングに使われていた小さな電解コンデンサは基盤の下面で短絡した。
パターンカット等をしていないので簡単に原状復帰ができるように配慮した。
(4) 前段増幅回路撤去後の出力波形の観測
改造後の特性を把握する為に
FX502Jの入力に関数発振器を接続し、
三角波を入力し出力をオシロスコープで観測した。
負荷は4.7Ω10W のセメント抵抗を使った。周波数は10KHz、1KHz、50Hz、30Hzだ。
結果は申し分のない性能で低音から高音に至るまで正確な増幅特性を示した。
以下の図は前段増幅回路を撤去した後の観測波形です。
前段増幅回路を撤去した結果、素晴らしい効果が得られた。
(5) 改造後の試聴 4月4日に実施
下の写真の様にFX502Jで自作した直立円筒バックロードホーンを鳴らして試聴した。
自作したTPE3116と似た自然な音でロック、ジャズ、声楽、オーケストラを楽しめた。
違いは僅かにザラっぽく感じた。原因は電源だと推定している。
専用の電源が無かったので、ノートパソコン用の19V3.42Aのスイッチング電源を使った。
もっと高品質な電源を使えば更に良い音が楽しめた筈だ。