Front Page                                '18,08,27 開始

3Dプリンターでスピーカー工作

3Dプリンターを使って直立円筒バックロードホーンスピーカーを作った。
ホーン構造の採用によって長年の課題だった一つのSPユニットで高音から低音まで賄うのに成功した。
その結果、飛躍的に音質が向上した。美しい高音と歯切れが良く充分な量の低音は秀逸だ。

3Dプリンターでのスピーカー作りに成功した理由は、次の通りだ。
      ①従前の工作手段に比べて自由度が大きく、平行面や段差の無い滑らかなホーンを造形。
      ②少ない労力で試行錯誤を楽に繰り返せるので音の最良点へ絞り込みやすい。

      

      
概略の目次は以下の様です。
                       ◎SPマウントの製作       フローティングマウントの 形を変え最良点を探した。   
                       ◎デフューザーの試作
                       ◎ボイド管ホーンの試作    大成功で円筒形SPが直立円筒形バックロードホーンになった。
                       ◎3Dプリンターで造形した直立円筒形バックロードホーンの製作    大成功!!

1. SPマウントの製作  ( 18,08,27 )

6年近く前に中国製卓上型CNCフライスを買った。
それを使って円筒形スピーカー用マウントを作ったところ飛躍的に音質が向上した。
下の写真は、そのマウントだ。今も現役で御機嫌な音を奏でてくれる。
素材はMDFの板で厚さ9mmの板を切削後に5枚重ねて接着した。


CNCフライスでマウントを削りだすと切子が大量に出る。
切子は集塵機で回収するのだが、その騒音も五月蝿い。
細かな切子が少しは漏れるので部屋中に飛散し加工後の掃除が面倒だ。
切削中のストレスが大きいために、これ以降はマウントの切削は行っていない。
その点、3Dプリンターはストレスが少なく手軽に使える。

1.1 製作の目的
3Dプリンターで実用的なマウントが印刷できれば円筒形SPの工作が簡単になる。
複数のSPユニットを試したいのだが、従前はマウントの製作が億劫だった。
3Dプリンターのオーディオへの適性を評価するためにPLA樹脂製マウントを製作した。

MDF製マウントの設計データーが残っていた。それを利用したので設計は簡単だった。
MDF製と音の違いを比べる為に同じ寸法で印刷した。その結果が下の写真だ。


我が3Dプリンターでは過去最大級だったので上手く印刷できるか不安が在ったが、
何のトラブルも無く一度でスンナリと印刷できてしまった。
緑色の本体と白色のゲル押さえリングはアクリサンデーで接着した。

1.2 強度の確認
3Dプリンターでスピーカーマウントを印刷する際に最大の懸念は強度だった。
必要な強度が得られずに割れるのではないかと心配していた。

完成したマウントを両手で掴んで撓ませようと力を入れたが微塵の撓みも無かった。
まるで石のように頑強だった。
爪の先で叩いた際の音がMDFよりも高い周波数だったが、金属程ではない。
PLA樹脂はスピーカーマウント用素材として充分な強度がある
これが音にどのように影響するのか判らない。

1.3 印刷の諸データ
   フランジ部の直径:129mm        直管部の直径:99mm  高さ:36.8mm
        使用フィラメント    PLA 1.75mm  緑:esun    白:Polymakr       
        ノズル温度:205℃  ベッド温度:50℃ 樹脂急冷ファン:停止
        表皮厚さ:1.2mm 積層厚:0.2mm インフィル:30%
        印刷時間 緑:6時間30分 白:2時間

1.4 モノラルでの試聴  ( 18,09,03 実施 )
下の写真の様に2台の円筒形SPを並べてモノラルで奏でる音を比較した。
左側はPLA製SPマウント、右はMDF製SPマウントだ。
位置をかえたりして2時間に亘って各種の楽曲を試聴した。


試聴の結果、従前に比べて僅かだが音が変わったように感じた。
    ◎ボーカルと伴奏の分離が鮮明になった?。
    ◎ダイナミックレンジが広がった?。
    ◎低音の歯切れが良くなった?。

PLA製SPマウントがMDF製SPマウントに比べて劣ると感じた点は皆無だった。
PLAはSPマウント用素材としてMDFよりも適している
今回はモノラルでの試聴だったが、今後ステレオ化して試聴する予定だ。

1.5 ステレオでの試聴      ( 18,09,09 実施 )
ステレオにする為にPLA製SPマウントを、もう一台作った。
寸法は同じだが、表皮の厚さを0.8mmに薄くしてインフィルを20%に減らしてみた。
完成したマウントを両手で掴んで撓ませようと力を入れたが、前作と変わらず頑強だった。

そのマウントを前回外したマウントの近傍に置いて重大な間違いに気づいた。
PLA製SPマウントのスカートの部分がMDF製よりも長かった
スカートの部分は新たに設計したのだが、その際にMDF板3枚分だと勘違いしたのだ。
実際のMDF製はMDF板2枚分だったので18.4mmだ。
PLA製SPマウントはMDF板3枚分の厚みを見込んだ。よってPLA製マウントは9.2mm長い。
下の写真ではPLA製とMDF製を並べた。その差は一目瞭然だ。

モノラルでの試聴で音が良くなったのは、
素材の差ではなくスカートの長さが影響したのだと考えられる。
音が悪くなっていないのでPLA樹脂がSPマウントに適さないとは考えられない。

早速PLA製SPマウントを左右のスピーカーに取り付けて試聴した。
音源はWindowsパソコンでiTuneを使った。CPUはCore5でSSDを搭載しているので充分に速い。
DACは自作のUSB-DACを使った。倍音のタイミングが狂わない回路設計だ。


ステレオで聴いたところ従前よりも格段に良い感じの音に変わっていた。
顕著なのは、音が朗々と響き前に出る感じだ。この感じは今までに無かった。
特にポップスを聴くとボーカルが最前列で歌っているようだ。
ボーカルの声が伴奏に埋没しないのだが、伴奏のベースは音階も含めて鮮明に聞こえる。

それらの状況から中低音の音量が増え、低音側の再生下限周波数が下がったと推定している。
SPマウントのスカートが9.2mm長くなった効果は、過去最高の音を生み出した。
円筒形SPは5年ぶりに前進した。

妻が円筒形SPを設置してある仕事場へ来たので、妻が買ったポップスのアルバムを聴いてもらった。
その評価は「目の前で生演奏しているようだ」との事だった。

1.6 延伸46mmマウントの製作 ( 18,09,13 )
先週に試聴したPLA製SPマウントでは、MDF製SPマウントに比べ臨場感が増した。
その理由はSPマウントのスカートがMDF製SPマウントに比べ9.2mm長くなった効果だった。
更に9.2mm伸ばしたら音がどのように変わるのか興味が湧いた。
そこでスカートが46mmのPLA+製SPマウントを2個作った。
今回は赤と黒のフィラメントを使った。印刷後にアクリサンデーで接着した。


設計と印刷の条件は以下の通りだ。
        フランジ部の直径:129mm        直管部の直径:99mm  高さ:46mm
        使用フィラメント      赤:sunlu PLA+ 1.75mm   黒:esun  PLA 1.75mm    
        ノズル温度(PLA+):220℃  ノズル温度(PLA):205℃  ベッド温度:50℃ 樹脂急冷ファン:停止
        表皮厚さ:1.2mm 積層厚:0.2mm インフィル:30%
        印刷時間 赤:7時間11分 黒:2時間28分

1台あたりの重量は110gだった。
2千円/1kg程度の安価なフィラメントを使っているので材料費は220円程度で済んだ。
高級なフィラメントを使えばコストは何倍にもなる。

写真ではスカートの形が分かりづらいので断面図を載せた。
ラッパのような形の部分が今回延伸した場所で高さは46mmだ。
そのラッパのような形に恰もSPユニットを大きくしたような効果が在るようだ。



1.7 延伸46mmマウントの試聴 ( 18,09,16 実施 )
マウントを交換する際に、今までに作ったマウントを並べて記念撮影を行った。
下の写真で左から27.6mm、36.8mm、46mmだ。

3D-CADを使って設計を修正すれば、後は3Dプリンターに任せておけば良い。
印刷には時間が掛かるが、お茶を飲んで昼寝をしている間に出来上がる。
細かな作業も無く腕力も不要で高齢者には最適なズボラ工作だ。

さっそく新作の延伸46mmマウントを円筒の頂に取り付けた。
ゲル押さえリングを黒色にして見栄えを良くしようと考えたのだが、
背後の吸音壁の色と似ていて成功とは言い難い。


試聴の結果は期待外れだった。
スカートを延伸した事によって低音の音量が増し歯切れも良くなった。
ところが前作( 36.8mm )で感じたボーカルが前で伴奏が後ろに在る様な感じが消えた。
逆に伴奏が前でボーカルが伴奏に埋もれた感じがする。音楽の魅力も薄れた。

我が円筒形スピーカーはバックロードホーンなので、音は上と下から出る。
低音は主に下から出る筈だが、上下のバランスが変わったのが原因かもしれない。

1.8 延伸41mmマウントの製作 ( 18,09,23 実施 )
これまでに3種のスピーカーマウントを試作して以下の事が判った。

    ◎スカートの長さの僅かな違いで高音と低音のバランスが大きく変わる。
    ◎27.6mmでは中低音が不足
    ◎36.8mmは、今迄で最も心地よい音
    ◎46mmでは低音が過大
 
3種の試作で最高のバランス点は27.6mmから46mmの間に在るらしい。
勿論36.8mmが最高のバランスなのかも知れないが、その周辺を作って試す事にした。

今度の試作はは36.8mmよりも4.6mmだけ長い41.4mmだ。
これで最高のバランス点へ近づける筈だ。

下の写真は試作した41.4mmだ。
スピーカーの背後にある吸音壁の色と調和すべくゲル押さえリングを白色にした。


設計と印刷の条件は殆ど前作と同じだ。
        フランジ部の直径:129mm        直管部の直径:99mm  高さ:41.4mm
        使用フィラメント      赤:sunlu PLA+ 1.75mm   白:PolyPlus  PLA 1.75mm    
        ノズル温度(PLA+):220℃  ノズル温度(PLA):200℃  ベッド温度:50℃ 樹脂急冷ファン:停止
        表皮厚さ:1.2mm 積層厚:0.2mm インフィル:30%
        印刷時間 赤:6時間43分 白:2時間28分

1.9 延伸41mmマウントの試聴 ( 18,09,24 実施 )
前作と同じく、マウントを並べて記念撮影を行った。
下の写真で左から27.6mm、36.8mm、41.4mm、46mmだ。


蛇足だが、アンプの前に積んである2個の小箱は自作のUSB-DACだ。
試作を繰り返して良い音を追求した。その前作と前前作だ。
3台目にして納得の音が出た。3台目はパソコンの陰で写っていない。

肝心の音は、大変に良い感じだ。
    ◎46mmの低音過多は解消、36.8mmよりも少しベースの音が強い。
    ◎36.8mmで感じたボーカルが前に出る感じは在る。
    ◎高音と低音のバランスが良く苦手な楽曲が減った。( パイプオルガンの重低音はダメ )

心地良い音で全く聴き疲れしない。
時間の経つのを忘れて音源のiTuneとYoutubeに在る楽曲を聴きまくった。
ストレスが全く無く、癒される音で次々と聴きたくなる不思議な魅力が在る。

下の写真は延伸41mm(41.4mm)マウントを円筒の頂に取付けた様子だ。
ゲル押さえリングを白色にしたので前作の黒色よりも良い感じだ。
音だけでなく見た目の良さも模索している。
次を作る機会が在ればゲル押さえリングを青にしてTricoloreにするかもしれない。



1.10 延伸41mmマウントを低音楽器で試聴 ( 18,09,29 実施 )
マウントのスカートを延伸する事によって影響を受けるのは低音部なので低音楽器を聴いた。

◎バス・ドラム
    ドラムセットに組み込まれている大きな太鼓だ。
    その音は、音と言うよりも空気の圧力といった趣で体全体が感じた。
    3.5インチ程度の小さなスピーカーユニットで空圧を感じたのは驚きだ。

◎ ウッド・ベース
    Youtubeに在る複数のロン・カーター氏の演奏を聴いた。 しかし何れもベースの音が鮮明では無かった。
    演奏会場の残響や共鳴音が含まれている様で楽器本来の音ではないような重低音も含まれている。
    ウッドベースの音は再生が難しいが、録音も難しいようだ。

    手持ちのロン・カーター・プレイズ・バッハCDでも試聴した。
    このCDに出てくる楽器はウッドベースだけなので判りやすい筈だ。
    その結果、演奏に出てきた全音階において充分な音量と正確な音程で鳴った。
   
    しかし楽器の音色に魅力を少ししか感じない。
    ウッドベースの音色には基本周波数以外に高調波まで含まれている。
    基本周波数は円筒の下から、高調波は上から出るので若干のタイミングがズレる筈だ。
    それが原因かもしれない。

    スピーカーで低音を高精度に再生するのは難しい。
    多くのスピーカーボックスは箱の共鳴現象を利用して低音の量を確保している。
    音量の確保と引き換えにダンピング性能が低下する。また共鳴現象は固有の共振周波数を持っている。
    その近傍の音で鳴らすと固有共振周波数に引き込まれる為に音階が不鮮明になったり音程が甘く聞こえる。
    オールホーンのスピーカーでは、この現象を回避できる。
    我が円筒形スピーカーも共鳴現象を利用しないので音程の狂いは生じない筈だ。

◎ カホン
    カホンは板で作られた箱で、その上に腰掛けて素手で叩く打楽器だ。
    長谷川きよし氏の別れのサンバ 2012(https://www.youtube.com/watch?v=2qMzBDe66s8)の伴奏に使われている。
    この曲は好きで良く聴く。長谷川きよし氏の声やギターの魅力は従前と変わらない。
 しかし背後で演奏するカホンの量と質が向上し鮮明になった。曲全体の魅力も向上した。

◎ 1.1.1 サクソホーン  ( 19,07,11 追記 )
   3Dプリンターで41mmのマウントを採用してからサックスの魅力が激増した。
   ソプラノサックスからバリトンサックスに至るまでリアルに再現する。
   低音の再生能力が増しバリトンサックスの魅力が増した事により全帯域の魅力が増えたようだ。

   最近頻繁に聞いているのは以下のYoutubeだ。

 ◎Take Five / Sickle Sax                                                     https://www.youtube.com/watch?v=pGaUlferotY
   Take FiveといえばDave Brubeck quartetの演奏が有名だが、こちらは総てがSaxで演奏されている。
   ソプラノ、アルト、テナー、バリトンデ構成されたquartetだ。
    素晴らしい演奏で録音も一発録りと思われ、新鮮な音だ。

   ◎Toccata & Fugue in D minor - saxophone sextet          https://www.youtube.com/watch?v=9g7I2SrFN9g
   パイプオルガンでの演奏が有名な曲だ。6台の各種サックスが夫々のパートを分担して演奏している。
   サックスはジャズ専用との先入観が在ったのだが、これはクラシックを見事に演奏している。

   残念ながら我が円筒形バックロードホンではパイプオルガンの重低音は上手く再生できないが、
   このサックスによるトッカータは美しく再生できる。

   ◎The Whoop Group - "Storm" by Antonio Vivaldi             https://www.youtube.com/watch?v=tCCCH3Uit14
    このグループもサックスによるquartetだがクラシックを中心に演奏している。
    youtubeには複数の演奏がUpされている。この四季の冬は秀逸だ。

2. デフューザーの製作  ( 18,10,06 )

我が円筒形スピーカーは点音源の様な球形の指向性を目指している。
低い周波数では概ね球形なのだが、周波数が高くなると蝋燭の炎のような形になってしまう。
それを軽減するために振動板の直径が小さなSPユニットを使っている。
通常の音域では成功しているが、高い周波数では解決できていない問題だ。

そこで専用のデフューザーを取付けて効果を試す事にした。

2.1  試作1号デフューザーの製作
下の写真の様に放射状の障壁を取り付けた。
コーンの各部位から出た音の干渉を防ぎ、鋭い指向性の合成を阻害しようと考えた。
これをSPユニットの中央に開けた穴へ差込み、磁石の力で吸着させる。

障壁の外周円の直径は120mm、高さは約60mmだ。材質はABS樹脂を使った。
シャフト部は直径14mm、高さ94mmだ。印刷には約3時間掛かった。
印刷した際の収縮で障壁に罅が入っているが、実験での影響は無いと考えている。
ABS樹脂での印刷は収縮への対策が難しい。

複雑な形だが、3D-CADで設計し3Dプリンターで印刷した。
設計には時間が掛かったが、製作は3Dプリンター任せで簡単だった。
3Dプリンターが無ければ手間の掛かる工作だった筈だ。

2.2 試作1号デフューザーの試聴  ('18,010,23 実施 )
製作したデフューザーを下の写真の様に円筒形スピーカーの頂に取付けた。
SPユニットのセンターキャップに穴を開け、
デフューザーのシャフトを穴へ差込み磁芯の磁力で吸着させた。
接着等の固定はしていないが所定の位置に留まっている。


試聴の結果は、効果が在った

先ずトライアングルやシンバル等の金属製打楽器の音量が増えた。

次にギターの金属弦を弾く瞬間の高音が鋭く聞こえた。
それに続く連続した減衰振動は従前と変わらなかった。

それ以外の楽器では差異が判らなかった。
SPユニットのコーンの直径が6cm程度なので、
SPユニットからの水平方向への音が弱まるのは3KHz以上と推定される。
音楽で3KHz以上の音階を使うことは少ないので差異が目立たなかったのだろう。

試聴の結果は、理論と合致した。デフューザーは指向性の改善に効果が在る
試聴した部屋の天井までは2.4mで天井板の材質は凹凸の在る石膏ボードだ。
床は頑丈なチーク材の寄木に薄い絨毯。
スピーカーから約4mの場所で立って聞いた。自分の耳は床から1.5m程度の高さだ。

音楽全般の印象は鮮度が上がったように感じた。
自分は鮮度の高い生演奏に近い音を得るべく工夫を重ねているが、
オブラートに包んだような耳障りの良い音が好きな人もいるだろう。
デフューザーは万人向きではないようだ。

3. ボイド管バックロード・ホーンの試作    ( ’20,06,19 )

我が円筒形スピーカーは3Dプリンターで作ったマウントによって良い音を出すようになった。
直立したパイプでは気柱共鳴によりボワボワした音が出やすいが、電気的に押さえ込んでいる。
これが成功し低音から高音までて心地良い音を奏でる。

このパイプを直管からホーン状に変えれば更に良い音が得られる可能性がある。
ホーンを作るのは簡単ではないが、径の異なるボイド管を繋ぎ合わせて近似ホーンを作ろうと考えた。

3-1 ホーン部の製作
ボイド管を繋ぐには異径のソケットが必要なので3Dプリンターで印刷した。
ボイド管の太さは、左から100mm、125mm、150mm、200mmだ。
下の写真でボイド管の前に並んでいるのが印刷した異径ソケットだ。


左端は異径ソケットではなくスピーカーマウントで、
従前の円筒形スピーカーと互換性の在る寸法に設計した。印刷時間は6時間だった。

一番太い150-200mm用ソケットは直径が208mm、高さが60mmで印刷に19時間も掛かった。
我がPRUSAで印刷できる直径の限界だが、問題無く印刷できた。
印刷ベッドに薄い鋼板を使っているので印刷物をベッドから剥がすのも簡単だった。
両手で鋼板を掴んで捩るとバリッと音がして剥がれた。スクレーパーは要らない。

125-150mm用ソケットではSTLファイルの許容角度誤差を大きく設定してユルユルになってしまった。
修正して再度印刷した。印刷では失敗は無かった。我がCLONE PRUSAは信頼性が高い。

印刷に使用したフィラメントはLongsell PETG 緑色だ。
この印刷で1kgのリールを使い切った。概ね2千円分のフィラメントを消費したと考えている。

ボイド管の内面には水性シーラー(塗料)を塗った。水性シーラーは木材へ塗装する際の下地用だ。
目的は紙の強度を高め吸湿性を軽減する為だ。効果の程は判らないが無いよりは良いだろう。
乾くと透明になるので写真では判らない。

写真の右端はパイプを繋いで組立てた様子だ。形はエクスポーネンシャルホーンに近似した。
完全なExp-Hornでは無いので短管毎に共鳴が発生する筈だが、周波数が分散するように長さを工夫した。
高さを1mで設計したのだが5cm長かった。どこかに間違いがあったようなので切り詰める予定だ。

下の写真は、パイプの太い側から内部を撮影した。各パイプの繋ぎ目は45度に面取りを施した。
撮影にリングライトを使ったら45度の面が光を強く反射して金属のように写ってしまった。


Exp-Hornにした効果を探るべく、パイプの細い方を手の平で叩いてみた。
長さ1mの直管ではボーンと音が響くが、このホーンでは響かない。
狙い通りの気柱共鳴防止効果が在るようだ。

ボイド管によるホーンを作ってみると着手前に考えていたよりも簡単な作業で済んだ。
設計で知恵を絞ったが、それ以降は楽な作業でだった。3Dプリンターは素晴らしい道具だ。

3-2 脚部の製作   2020,06,26 実施
脚部は、円筒の横に固定した3本の脚によって支える構造にした。
各脚にはレベルアジャスターを取り付け下部空間の高さを変えられるように工夫した。
赤い部分はPETGで印刷した。縦横が70mm、厚さは20mmだ。
レベルアジャスターはM8の90mm。下部空間の高さは70mmにした。


脚を残材の200mmボイド管に取り付け、問題の有無を検証した。
ビスを通す穴を正確な位置に開ける為に3Dプリンターで治具を作った。


下の写真はボイド管へ脚を取り付けた様子。強度を心配したが問題無かった。
これなら既に出来上がっているホーンへ取り付けても良さそうだ。



3-3 防振材の張り付け  2020,06,30 実施
ボイド管の内面に網状スポンジシートを貼った。
ホームセンター等で売っている滑り止め用のスポンジシートだ。
粘着材が付いてないのでゴム系接着剤(G17)を塗って貼り付けた。


貼った目的は、人の耳が指向性を感じる高い周波数を弱める為だ。
一般にバックロードホーンでは気室と呼ばれる空間を用いる。
空間を低周波通過フィルターとして使うのだが、
理論的に疑問があるので網状スポンジシートを使った。

右の写真はパイプを組み立て完成した様子だ。
ホーン部の高さは1mで下部空間は70mmにした。

近々、モノラルでの試聴を計画している。
スピーカーユニットは既存の円筒形SP用を使う予定だ。

4. ボイド管ホーンのステレオ化    ( ’20,07,23 )

モノラルでの試聴の後にステレオ化しようと考えていたのだが、結果を待たずにステレオ化した。
材料のボイド管はモノラルを作った際の切れ端で賄った。脚の部分のレベルアジャスターは新たに購入した。
下の写真ではパイプが傾いているが、カメラのレンズによる歪みで実物は直立している。


5. 試聴開始   ( ’20,07,25 )

音を出すために試聴室を兼ねている仕事場へボイド管ホーンを運び、
その頂へ円筒形スピーカーのスピーカーユニット部を移植した。
防振ゲルや仮想グランドも一緒に移動した。

下の写真で左右に在る白いパイプは円筒形スピーカーのパイプだ。


別の用事で仕事場へ出かけたので試聴には充分な時間がとれなかったが、
狙い通りの素性の良いSpeaker Boxだと感じた。

円筒形スピーカーではパイプの気柱共鳴を抑える為にダンピング抵抗を使って
電気的に押さえ込んでいる。それが成功し良い音を奏でてくれる。
そのパイプの部分を擬似ホーン状にして気柱共鳴を分散させようとの発想だ。

音を聴いてみると低音が朗々と鳴る感じに変わった。音量も増えているように聞こえた。
試聴にはYoutubeのに在る無響室録音のチェロを鳴らした。
        https://www.youtube.com/watch?v=R7ghrc-19XA
この演奏では冒頭にチェロが出せる音階を最低音から最高音まで弾く。
その最低音から最高音まで心地良い音で魅力を感じた。音量も充分だ。

ところが、長谷川きよし氏の別れのサンバでは、ギターの音色は従前と同じだが
後ろで演奏している仙道かおり氏のカホンの重低音が弱くなった。
円筒形スピーカーでは腹に響くカホンの重低音が出ていた。
パイプの気柱共鳴によって重低音だけ能率が高いのかもしれない。
どの音が生演奏に近いのか判らない。
  https://www.youtube.com/watch?v=2qMzBDe66s8

問題点も在る。ウッドベースをピッツィカートで弾く際にスピーカーから異音が出る。
コーンの可動領域を超えるらしくコーンが何かに当たる音がする。
低音での気柱共鳴が消え低周波でのスピーカーユニットのインピーダンスが低下したと考えている。
このスピーカーユニットで擬似ホーンを駆動するのは難しいのかもしれない。

6. 最適SPマウントの選定   ( ’20,08,06  実施)

先の試聴で高音と低音のバランスが悪く低音過多と感じた。
円筒形直管スピーカーに比べてボイド管ホーンは低音再生の能率が高いようだ。
円筒形直管スピーカーの経験からスピーカーマウント部のラッパ部の長さを
短くすれば低音を減らし高音とのバランスを調節できる筈だ。

従前はラッパ部の長さが41mmだったので20mmと30mmのスピーカーマウント部を印刷した。
下の写真で上が30mm、下が20mmのマウントだ。
材質はPETGを使った。最近はPLAやABSを使わなくなってしまった。


下は今までに作ったSPマウントを集めた記念写真だ。
3Dプリンターを使わなければ工作が面倒な筈だが、
3DーCADで設計すれば後は3Dプリンター任せの楽チン工作だった。


41mmを30mmに換えて試聴したところ、
ウッドベースをピッツィカートで弾く際の異音は解消した。
しかし、まだ低音が多すぎるように感じた。

そこで一番短い20mmに換えたところ、凄く良い感じになった。
従前で良かった楽曲はそのままだが、以下は良さを感じなかった演奏が魅力的になった。

Herbie Hancock, Ron Carter and Billy Cobham
ハービー・ハンコック氏のピアノとロン・カーター氏のベースによる演奏だ。
ウッドベースの音が魅力的だ。音階が鮮明で弦の余韻が心地良い。
円筒形直管スピーカーでは楽しめなかった曲だが、ボイド管ホーンでは良い感じに変わった。

Sarah Brightman and Antonio Banderas - The Phantom of the Opera
サラ・ブライトマン嬢とアントニオ・バンデラス氏によるオペラ座の怪人だ。
冒頭にパイプオルガンの演奏がある。従前はこの部分が上手く再生できなかった。
20mmへ換装した後は、パイプオルガンの演奏が良い感じだ。
またオーケストラの前でサラ・ブライトマン嬢が歌うのだが、とても心地が良い。
バックのオーケストラと美声が混じらす鮮明に聞こえる。
同じ楽曲を繰り返し5回も聴いてしまった。この快感は何だろうか。

ボイド管ホーンを組み込んだ円筒形スピーカーは過去最高の心地良さだ。
円筒形スピーカーのパイプには直管よりもホーンが適していると確認できた。
今まで使っていた白色塩ビ管は、お蔵入りになりそうだ。

7. CDアルバムの試聴   ( ’20,08,20  実施)

試聴室を兼ねている仕事場へ庭の雑草を抜く目的で出かけたが、暑くて作業が出来ない。
最低限の作業だけ済ませて冷房を掛けた部屋に篭り、4時間に亘って直立バックロードホーンを鳴らした。
 注:従前の円筒形スピーカーとの混同を避けるために、今後は直立バックロードホーンと呼びます。

自分が所有するCDアルバムはパソコンの中に入っている。
リース戻りの安価な中古パソコンのHDDをSSDへ換装しメモリーを8GBへ増強してWin10を走らせている。
このSSDにiTuneを入れCDアルバムを収納している。
CPUはCore i5なので充分に速くCDアルバムを再生する際にタイミングのムラ等を感じる事は無い。

iTuneには童謡から邦楽、ジャズやロック、クラシックなど多種の楽曲が入っている。
今までの試聴ではYoutubeを音源として低音が改善された筈との先入観で試聴してしまった。
結果は、確かに低音が改善されていたが、他の周波数帯の音は試していなかった。

そこでiTuneに入っているアルバムを片っ端から聴いてみた。
驚いた事に総てのアルバムで音の心地良さが向上していた。特に顕著なのは人の声だ。

低周波数域は出ていないと考えていたのだが、ソプラノの魅力が増した。
鮫島有美子氏の「日本のうた」というアルバムを聴いた。
以前から美声にだったが、更に自然な麗しい声に聞こえた。
ピアノの伴奏で鮫島氏が歌うシンプルな内容で28曲が収められている。
歌声が心地良く6曲も続けて聴いてしまった。

ビートルズの古いベストアルバムでも魅力が増した。歌声が自然でリアルだ。
Louis ArmstrongのWhat A Wonderful Worldもだみ声が素敵だ。
Nat King Cole のCaravanは滑舌が心地良い。

4時間に亘って音楽を聴いたのだが、全く疲れず癒された。
直立バックロードホーンの癒し効果は素晴らしい。
更に続けて聞きたかったのだが、帰りの電車がラッシュになってしまう。
コロナが怖いので混雑する時間帯を避けるため試聴を打ち切り帰宅した。

試聴した総ての楽曲で心地良さが増したのは想定外だった。
円筒形スピーカーでは円筒の気柱共鳴が低周波だけではなく
高音にも影響を及ぼしていたのだろうか。謎だ。

8. ボイド管下端補強材の試作   ( ’20,08,27  実施)

直立バックロードホーンは過去最高の心地良い音を出すようになった。
そこで実験装置から恒久設備に昇格させようと考えた。
その際に外観を少し格好良くしようとしている。

最も格好悪いのはボイド管の下端だ。ここは切りっ放しで見た目の違和感がある。
それに長期使用の間には何かをぶつけてボイド管の紙が解れるかもしれない。
そこを補強する事にした。補強材は3Dプリンターで印刷した。

またボイド管の下端はパイプが連続している部分に比べて強度も低い筈だ。
補強材によって寄生振動が減る筈なので、少しは付帯音が減るかもしれない。
但し現状では付帯音を感じていない。

設計を検証する目的で作ってみた補強材が下の写真だ。
円弧状で脚部を避けた構造だ。その断面は三角形にした。
3個で1本のボイド管ホーンを賄える計算だ。


作って見たところ円弧の大きさや形には問題無かったが、固定用ビスの頭の大きさを間違えていた。
最近3D-CADを使う際の粗相が多くなった。今回もそれだ。試作をして良かった。

ビスの頭は穴に入らなかったが、何とか捻じ込んで補強材を固定できた。
ところが内側を見るとネジ穴の周囲の紙が解れて膨らんでいる。
ネジの頭も見えている。音道に凹凸が在るのは音響機器として好ましくない。
ゆえに補強材の固定は接着材を使う事にした。


印刷には黒色PETGを使ったが、色を選んではいない。
偶々3Dプリンターに架かっていたリールを手っ取り早く使っただけだ。
本体の色が決まり次第、補強材の色を決め印刷するつもりだ。

9. 短縮15mmマウントの試作   ( ’20,08,29  実施)

先にスピーカーユニット直下のスカートを30mmから20mmへと短縮したところ大きな効果が在った。
20mmで充分に良い音が出ているが、更に縮めたら音がどう変わるのか実験したくなった。
そこでスカート部が15mmのマウントを作った。
自分の予想では低音不足になる筈なのだが、やってみなければわからない。

下の写真は、新たに作った15mmのマウントだ。
在り合せのフィラメントを使ったので色は自分の好みではない。


9-1 短縮15mmマウントの試聴
試聴したところ想定通りの結果が得られ、音の魅力は減った。

鮫島有美子氏の「日本のうた」というアルバムでは、
20mmマウントで感じた音の虜になるような魅力は感じなくなった。
ソプラノの歌声は従前と変わらずに麗しいのだが、伴奏のピアノの音が変わったのか?。
スカートを短縮したので再生下限周波数が高くなった筈だが、
ピアノの音に重低音が含まれているのだろうか。
もしかすると録音空間の残響を再生するか切り捨てるかの違いかもしれない。

原信夫とシャープス&フラッツの演奏が好きで頻繁に聴く。
その演奏の中でベースの音が聞き取れた。これは円筒形SPでは無かった事だ。
20mmマウントで聞き取れたのか解らないが15mmでは聞き取れる。
またドラムの音が凄い。
スティックで皮を叩いた瞬間の音と、それに続く共振音が聞き取れる。
低音における解像度の高さは秀逸だ。

歌謡曲ではボーカルと伴奏との分離が鮮明だ。
まるで目の前で歌っているような生々しい声だ。
伴奏はステレオだがボーカルはモノラルで録音されているように聞こえる。

20mmマウントと15mmマウントを簡単に切り替えられれば比較は楽なのだが、
切り替えは手間がかかる。暫く15mmマウントで聞いた後に再度20mmへ
戻そうと考えている。良い音へ切り替えれば優劣が判り易いだろう。

10. ボイド管下端補強材の取付け   ( ’20,09,10  実施)

切りっ放しだったボイド管の下端に補強材を取り付けた。
もちろん補強材は3Dプリンターで印刷した
色はグレーなのだが、3Dプリンターの素材のメーカーを替えたら従前に比べて青っぽい。
固定は予備実験の結果を踏まえてホットボンドを使って接着した。


音への影響は感じなかった。
ところが取り付けた後にマウントを20mmに替えて前出の鮫島有美子氏の「日本のうた」を
聴いたところ、従前に比べて麗しい声が更に魅力的になったように感じた。
「日本のうた」には28曲が収められているが、総てを聴いた。更に何曲か繰り返してしまった。
従前よりも"虜効果”が顕著になっていたようだ。

ボイド管下端補強材の取り付けで音が良くなったと断定できないが、少なくとも悪くなってはいない。

11.  22mmマウントの試作と評価   ( ’20,09,29  実施)

スカート部を短縮した15mmのスピーカー・マウントでは低音が減り、音の魅力も20mmよりも減った。
どうやら最良の長さは20mm付近に在りそうだった。
その辺りを探るためにスカート部を2mmだけ延長した22mmのマウントを作った。

下の写真では沢山の材料を使っていそうに見えるが、
表面だけで内部は中空に近い擬似ハニカム構造なので少なくて済んでいる。充填率は20%だ。
しかもamazonで廉いフィラメントを選んで買っているので出費は少ない。
我がBear upgrade PRUSAはフィラメント送り歯車が特殊な形をしており強力でフィラメントを選ばない。


完成した22mmマウントを早速ボイド管バックロードホーンスピーカーへ取り付けて試聴した。

鮫島有美子氏の「日本のうた」では氏の麗しい声に変わりは無いが、
伴奏のピアノが従前よりも魅力的になった。ピアノの余韻が響きよい感じだ。
スカート部を15mmよりも長く高くした事で低音が増えたようだ。

Youtubeにはピアノ演奏が沢山ある。
それらを聴いてみると従前よりも良い感じだ。低音が増えた効果だろう。

ところが、大好きな原信夫とシャープス&フラッツの演奏では 違った。
トランペットやクラリネットの音がドラムやウッドベースの音に少し埋没してしまう。
実際に、そのように演奏しているのかも知れないが良い感じではない。

今までに試したスカートの高さ評価を以下の表に纏めた。


以上の結果から最良の長さは、22mmから20mmの間に在りそうだ。
そこで21mmを作って試す事にした。今、印刷中だ。
これで結論が出る筈だ。

12.1  21mmマウントの試作と評価   ( ’20,10,13  実施)

スカート部が21mmのマウントを印刷した。試聴したところ凄く良い感じになった。
直前に22mmを試してから21mmに替えて聴いたのだが、以前よりも音に透明感が在るように感じた。

原信夫とシャープス&フラッツの演奏では個々の楽器の音が鮮明で魅力的になった。
少し低音が弱まった筈なのだが、そのような感じは全く無い。

Manhattan Jazz Quintetの演奏で従前は楽器の魅力を感じなかったが、サックスやトランペットの音が綺麗と感じる。

20mmと22mmに比べて僅か1mmの差でこれほどに音が変わるのは驚きだ。



今までに試したスカートの高さ評価を以下の表に纏めた。


13.1  ボイド管バックロード・ホーンのまとめ   ( ’20,11,05  作成 )

従前の直立円筒形スピーカーでは長さ1000mm、直径100mmのパイプを使っていた。
ホーンではないがバックロード・スピーカーだ。

しかし太さの変わらないパイプでは必ず気柱共鳴が発生する。
これを電気的に押さえ込み良い感じの音が出ていたが、気柱共鳴の影響が残っていると考えていた。
このパイプをホーン状にすれば気柱共鳴を完全に排除できると考えたが効果の程度は予測できなかった。

直径の異なる塩ビ管を繋げば擬似ホーンを作れる筈だったが、重量やコスト面で難しく躊躇していた。
そこで直径の異なるボイド管を繋ぐ方法を思いついた。繋ぐための異径ソケットは3Dプリンターで印刷した。
最も大きな直径200mmと150mmのボイド管を繋ぐ異径ソケットを印刷するのは大変だろうと考えていたが、
実際に印刷してみると時間は掛ったが意外と簡単だった。

擬似ホーンが完成し音を出してから手が掛ったのはSPユニットの前と後ろから出る音量のバランスだ。
我が直立バックロード・スピーカーの場合には上と下から出る。その音量のバランスが重要だった。
バランスを取る為の作業に手間取ったが、3Dプリンターを活用したので労力は少なくて済んだ。
木工技術でバランス点を探るのは多大な労力が必要で事実上不可能と思われる作業だ。
そのせいかYouTubeに沢山在る作例でもバランス点を探ったスピーカーは見つからなかった。

バランスを取る作業を終えてからの音は素晴らしくなった。低音の輪郭が鮮明で芯の在る音だ。
擬似ホーンには一般的なバックロード・ホーンに見られる蛇行音道のような曲がりが無い。
その為に音波がホーンの中を通過する時間が一定なので音波が変形しないからだと考えている。
YouTubeに見られる物では低音は増えているが、こもった感じやモワモワした感じを受ける例が多い。
手前味噌だが、音量と音質の点で我が直立バックロード・ホーンの音は秀逸だと感じている。

ホーンは滑らかなカーブを描くラッパ状が理想的だが、作るのが難しかった。
そこでボイド管を使った段々の在る擬似ホーンで妥協した。
段々状の擬似ホーンでも素晴らしい効果が在ったが、段々によって性能が阻害されている可能性が在る。
3Dプリンターで段々の無いホーンを作れば、その点を確認できるかも知れない。
しかし我がBear Upgrade Prusaでは高さが200mm程度までしか印刷できない。
5段階に分割して印刷すれば不可能では無いが、材料費と長い印刷時間が必要だ。
そして何よりも情熱を維持できるか判らない。

過日、YouTubeでHerbie Hancock, Ron Carter と Billy Cobham のジャズ演奏を聴いた。
従前の直管を用いた円筒形スピーカーでは全く魅力を感じなかった演奏だ。
それを直立バックロード・スピーカーで聴いたところRon Carterのベース演奏が素晴らしいのが判った。
直立バックロード・スピーカーはバスレフのような共鳴現象を利用していないので音程の狂いが生じない。
ベース演奏の音階が正確に再現されており音量も充分で小気味良い音が快感だ。
そのRon Carterの演奏をパソコンのSPで聴いたところ、ベース演奏の音が聞こえなかった。

最近の試聴で問題に気付いた。SPユニットのコーンの周辺で僅かなノイズが聞こえる。
ベースの特定の音階に共鳴してビリビリと震える感じのノイズだ。しかも徐々に悪くなっているようだ。
現時点では音楽を楽しめるが気になる。楽しめなくなるのは時間の問題だろう。
鳴らしているSPユニットのコーンを眺めていると大音量の低音で鳴らす際にエッジが引きつっている。
またボイスコイルを巻いてある円筒とコーンの繋ぎ目辺りからビビリ音が出ているような気がする。
低音の量が増えたことでSPユニットのコーンに掛る負荷が増大した。
それによって機械的な強度の限界を超えたのかもしれない。

14  SPユニットの現状   ( ’20,11,19  作成 )

下の写真では現在のスピーカーユニットを真上から写した。
過去にコーンの強度を増す目的でシェラック・ニスや酢酸ビニールを塗ったが、
長年に亘る酷使で痛んだようだ。塗膜の遊離と剥離が沢山ある。
写真はステレオの左側だが右側も同じような状況だ。それらがビリビリのような雑音の源だろう。
小径のSPユニットで大型SPのような低音を出すとコーンに大きな負荷が加わるようだ。

スピーカーユニットの周囲にある赤い環は、3Dプリンターで印刷した防振ゲル固定用リングだ。
マウント固定用のビスは外してある。
この写真は古いiPhoneで撮影したものだが、積層痕が見えない。
手前味噌だが我がBear Upgrade PRUSAは、工作機械として充分な性能を備えている。


直立バックロード・スピーカーに適したSPユニットが在れば交換したいのだが、
大きな負荷が掛る直立バックロード・ホーンに適したSPユニットが見つからない。困っている。

15.  ビビリ音発生部位特定   ( ’20,11,24  作成 )

上と下から出る音量のバランスを追求する為にSPマウント部を何度も交換した。
その度に固定ビスを外すのが面倒だったので外した状態で試聴していた。(上の写真参照)
バランス作業が終わったのでビスを戻して締めた。16本もあるのでチョット面倒だった。

その後に音楽を鳴らしたところ困っていたビビリ音が消えていた。
ビビリ音はパイプ側のフランジ(薄緑)とSPマウント部の間で発生していたようだ。
この部分にはスピーカーと仮想グランドの重量が加わっている。3kg程度だろう。
たった3インチのスピーカーユニットにそれを振動させるほどの力が在ったとは驚いた。
 

ビビリ音が消えたので御機嫌でジャズを聴いていたら
稀に低音に同期してシャーンという振動が聞こえる。ひげ発条が震えるような音だ。
耳をSPユニットへ近付けて発生場所をす探ったらスピーカではなかった。
1m程度はなれた棚の上にある温湿度計から出ていた。この中の機構が共振して音を出していた。
すぐに温湿度計を別の部屋へ移動した。これで問題は解消した。


問題が消えたのでHerbie Hancock, Ron Carter と Billy Cobham の Walkin'を聴いた。
上と下のバランスを取ってから初めてだ。
従前どおりベースの低音は鮮明だった。驚いたのはピアノの音色だ。
過去にピアノに魅力を感じたことは無かった。それが快感だ。

ピアノに興味が湧いた。Youtubeにはピアノの演奏が在る筈だ。
演奏家や曲名を知らないので"駅ピアノ"で検索してみたところ素晴らしい演奏が沢山在った。
それらの特徴は、複雑なミキシングが施されていないので音の鮮度が良いことだ。
特に気に入ったのは下記だ。

    はらみさん        https://www.youtube.com/watch?v=MFZK6f0b8SQ
    菊池亮太さん     https://www.youtube.com/watch?v=FJ9TTs__Xi8

従前はピアノの音に全く魅力を感じなかった。
それが聞き入ってしまう程に魅力的になっていた。
直立円筒形スピーカーを直立バックロード・ホーンへと改造し素晴らしい音になった。
この改造によって苦手な楽器が無くなった。もちろんボーカルは生のようだ。
サラ・ブライトマン氏も鮫島由美子氏も我が家で歌ってくれる。素晴らしい事だ。

16.  新SPユニット選択と製作   ( ’20,12,15  開始 )

今まで使っていたSPユニットがビビリ音を出すようになった。そこで代わりになるSPユニットを探した。
選定の条件は、3インチで鍔が丸くネオジム磁石を使っている事だ。四角の鍔はマウントが作りにくいし、
フェライト磁石を使ったSPユニットは後部が大きく音が伝わる道の妨げになる。
その条件で探したところAliexpressで売られていたGHXamp社製が条件に近かった。その上に安価だ。
残念なのは4Ωだった。4Ωでは発電ダンパーが使えないが、これは我慢した。下の写真は届いた新SPユニットだ。


16.1 マウントの製作
従前のSPユニットとは僅かに寸法が違う為、マウントとゲル押さえリングの設計を修正し印刷した。
いつもと同じようにPETGフィラメントを使った。


16.2 新SPユニット搭載試験
マウントとゲル押さえリングを接着し、防振ゲルを挟んでSPユニットを載せ、
ゲルの上に安定に座るか確認した。想定通りSPユニットがゲルの上に安定に載っている。
SPユニットの縁を指先で押すとユラユラする。
これでコーンの振動が絶縁されホーン部へ伝わらない筈だ。
下の写真でSPユニットとマウントの隙間に見える無色透明の紐状の物がゲルだ。


16.3 仮想グランド用アダプターの製作
SPユニットの背面へ仮想グランドの鉄棒を取り付けなければならない。
従前のSPユニットでは背面に鉄芯が露出していたので、
その中心部に穴を開け雌ネジを切ってネジ止めしていた。
しかし新SPユニットはアルミ製のカバーと思われる物に覆われていて雌ネジを切れない。

そこでアルミ製のカバーへアダプターを接着する事にした。
新SPユニットの背面に丸く太いアダプターを3Dプリンターで印刷した。
大きさは、直径50mm長さ50mmで、その中心はM16の雌ネジになっている。
仮想グランドはM16で長さ1mの全ネジ棒を想定している。


16.4 仮想グランド用アダプターのネジ部確認
アダプターの中央に設けた雌ネジの寸法が正しいか確認する為に
従前の仮想グランドの下部へ捻じ込んでみた。固すぎず緩すぎず良い感じだった。

実際に使用するのは、この場所ではない。作業しやすい場所を利用しただけだ。
ホーン内面に防振用として貼った黄色い滑り止めスポンジが写っている。

3D-CADでネジを設計するのは面倒な作業だ。
最近は単純な粗相が多いので、一度の設計で成功して嬉しかった。


16.5  アダプターの接着と仮想グランドの取付け
3D プリンターで印刷して作ったアダプターをSPユニットへ接着した。
材質はPETGなのだが、接着剤の資料によると近縁のPET樹脂は難接着材料と記述されている。
そこでコニシ株式会社の商品からポリプロピレンやポリエチレンにも使えると謳っている
ボンド ウルトラ多用途を使った。着くか心配だったが、ガッチリと固定された。

そこへM16のネジが両端に切ってある長さ50cmの鉄棒を捻じ込んだ。
これでスピーカーユニットと鉄棒(仮想グランド)が一体になった。
鉄棒は40cmの棒を継ぎ足し、合計90cm程度にする予定だ。


長さ400mmの鉄棒を継ぎ足したのがしたの写真だ。フランジの下面から鉄棒の下端までの長さは955mmだ。
鉄棒はスーパービバホームで購入した。建築用金物の商品棚に在った。
これに吸音材を取り付ければ仮想グランドは完成だ。


16.6  吸音材の取付け    2020,12,25 実施
鉄棒に水道用の凍結防止断熱カバーを被せ、その上に網状スポンジを巻いた。SPユニットの近傍は太さ65mmだ。
断熱カバーは外径38mmと60mmを併用した。最も太い部分は38mmの上に60mmを重ねた。
太くしたのは、SPユニット近傍の音道を狭くして低音の拡散を防ぐ。
定在波の発生を抑止するためSPユニットから遠くなる程に細くした。


これに長さ3mのシリコン電線とバナナプラグを取り付けて完成した。
SPマウント部にはゲルを挟み込んである。移動する際にズレないようにセロテープで仮固定してある。
後から印刷したSPマウントは赤と黒にした。灰色よりも格好が良いと思う。
これをボイド管バックロードホーンに取付けて試聴する予定だ。
新しいSPユニットが、どんな音で鳴るのか楽しみにしている。



16.7  試聴    2020,12,28 実施
予定通り完成したスピーカー部を仕事場兼試聴室へ運びボイド管バックロードホーンの頂へ取付け鳴らした。
当初、モヤモヤした感じの音だったのでコーンに被せてあった金網を外したところモヤモヤ感は解消した。
今の所ビビリ等の異音は全く無い。

その状態で4時間に亘って音楽を聴いたが全く疲れなかった。
嫌味が無い音だが、従前のような聴けば聴くほど癒される感じも無い。

音楽は楽しめ低音も高音も出るが、繊細感が足りず生々しさが全く感じられない。
生演奏を薄いカーテン越しに聞いているようだ。その為に楽器の持つ魅力を再現できない。
ストラディバリの音色が安物のバイオリンと区別できない。

バックロードホーンによる低音の強化は充分に感じた。
ロン・カーター氏のウッドベースによるバッハの無伴奏チェロ組曲"Play Bach”を聴いたが、充分に楽しめた。
本来はチェロによる演奏をウッドベースのピッツィカートで演奏した素晴らしい曲だ。
低音は充分な再生能力が在るが、指先で弦を弾く際の鋭さが感じられなかった。

自分の耳は従前のSPユニットの繊細な音に慣れているので物足りなく感じるのだろう。
しかし従前の磁性流体ダンパーと発電ダンパーを採用したSPユニットの音に比べ劣るのは仕方無い事だと考えている。
無改造のSPユニットとしては素性が良いと思う。

今後はSPユニットを上向き取り付けに適した構造に改造する予定だ。


16.8  コーンの強化と試聴    2021,01,10 実施
前回の試聴では解像度の低い感じだった。良く言えば軟らかい音だが自分の好みではない。

コーンに指先で触れると僅かにビロードのような毛羽立った感触があった。
Webの商品紹介に羊毛を漉き込んだコーンと記載されていたので符合する。
車載用スピーカーなので軟らかい音を狙ったのかもしれない。

そこでコーンにニスを浸み込ませ硬くして強度を上げることにした。
以前にも使ったアレスコのセラックニスをホームセンターで探したが無かった。
仕方なく水性ウレタンニスを購入してプリンター用紙に塗って試したところ
紙がふやけてしまった。水性ウレタンニスはコーン強化の目的には適さないと思われた。
ホームセンターの店員に聞いたところ品揃えを環境に影響の少ない水性塗料に絞っているそうだ。

そこでAmazonを探したところカンペパピオの商標で同じと思われる物が売られていた。
これを購入しコーンに2回塗ったところ音の解像度が上がり良い感じの音になった。
これによってかなり改善されたが、生生しいというレベルには至っていない。
しかし改造1回目としては上々の結果だ。

市販されているセラックニスには溶剤にシンナーを使った物もあるらしい。
それらはスピーカーに使われている接着剤を溶かす恐れがある。
カンペパピオのセラックはアルコール系の溶剤なので接着剤を溶かす危険が少ない筈だ。

16.9  コーンの強化と試聴2    2021,01,16 実施
コーンにセラックニスを含浸させてから6日が過ぎた。
セラックニスが充分に硬化したと思われるので試聴した。

音は6日前よりも解像度が上がり輪郭が鮮明になっていた。
6日前には楽しめなかった鮫島由美子氏の童謡を楽しめるようになった。
またシャープス&フラッツの演奏ではスネアドラムを叩いた際の衝撃を感じられるようになった。
しかし生生しいというレベルには至っていない。

下の写真は左がコーンにセラックニスを含浸させる前の状態で細かな繊維が見える。
右は2回塗りで含浸させた後の状態で繊維は見えない。
指先で触れても紙の様には感じずプラスチックに似た感じだ。


この後にセラックニスを塗ったので更に硬くなるのではと期待している。
硬化するのが楽しみだ。

16.10  コーンの強化と試聴3   2021,01,22 実施
コーンに3回目のセラックニスを塗ってから6日が過ぎた。
試聴したところ更に解像度が上がった感じだ。
コーンの強度が上がり周波数が高い振動も伝達できるようになったのだろう。
影響は周波数が高い音だけでなく、低い音でも輪郭が鋭く力強い感じになった。

その結果、ギル・シャハム氏の無伴奏バイオリンを楽しめるようになった。
しかしトライアングルの音が充分ではない。出るのだが音量が少ない。

そこで更に強度を上げるべくコーンの裏側にもセラックニスを塗った。
下の写真は塗った後の様子だが、コーンの状態は判らない。
筆運びが下手で、はみ出した所に塗った痕跡が見られる。

どのような結果になるか、次の試聴が楽しみだ。


16.11  コーンの強化と試聴4   2021,01,29 実施
コーンの裏側に1回目のセラックニスを塗ってから一週間が過ぎた。
それを3時間に亘って試聴したところ聴いた全ての楽曲が良い感じだった。

特にウッドベースやチェロの音色は秀逸だった。
直径75㎜のスピーカーが出す低音は輪郭が鮮明で量と質が共に素晴らしい。
共鳴現象を利用していないのでボワーンとした付帯音を感じない。

試聴を終える時刻を15時と決め帰着しようと考えていたが、
次々と違う楽曲を鳴らし、ズルズルと伸びて15時30分に終えた。
いつまでも聴き続けたくなる”虜効果”が在るが従前のSPユニット程に強くはない。
また従前のSPユニットに比べて生々しい感じはない。
そこで生々しさを求めてコーンの裏側に2回目のセラックニスを塗った。
次の試聴が楽しみだ。

今回の試聴で楽しんだ楽曲は下記のようだ。

◎ Herbie Hancock, Ron Carter and Billy Cobham
 ロン・カーター氏のウッドベースが良い感じ。
 https://www.youtube.com/watch?v=asJRAGUlZ1c

◎無響室録音・チェロ
 全音階を弾くが、低音から高音まで綺麗に鳴った。絃の唸る音が魅力的だ。
 藤沢俊樹氏の演奏と録音が素晴らしい。
 https://www.youtube.com/watch?v=R7ghrc-19XA

◎長谷川きよし氏の別れのサンバ
 ギターの音がリアルになった。
 特に金属弦を弾いた際の感じを再現できるようになった。
 https://www.youtube.com/watch?v=XhILpwXcIeo

◎なつかよ マリンバ演奏
 丸の内の中通りでの演奏だ。屋外録音なので環境の騒音が含まれるが、
 木琴の音は良い感じだ。複雑な編集を経てないようで音が新鮮だ。
 https://www.youtube.com/watch?v=m6YSUU2c354
 
◎Gil Shaham - Sarasate, Zigeunerweisen
 素晴らしい演奏を楽しめた。音は従前のSPユニットと同じようなのだが何か物足りない。
 そのあたりが生々しくない事と関係がありそうだ。
 https://www.youtube.com/watch?v=lEvw9281hqM


16.12 コーンの強化と試聴5  2021,02,05 実施
コーンの裏側に2回目のセラックニスを塗ってから一週間が過ぎた。
前回の試聴の音から変わってないのではないかと危惧していたが杞憂だった。
音が前回よりも更に自然で良い感じだ。しかし高音の性能が十分ではない。
試聴したのは下記の楽曲だ。
   
◎川井郁子 Ikuko Kawai リベルタンゴLibertango [嵐が丘.Live.Concert.Tour.2005]
 円筒形スピーカーを作り始めてから15年が過ぎた。しかし今までスピーカーが出すピアノの音に魅力を感じた事は無かった。
 ところがこの演奏の冒頭のピアノの音に魅力を感じた。過去最高のスピーカーが出すリアルなピアノだ。
 直立円筒バックロードホーンは円筒形スピーカーに比べ圧倒的に優れている。
 https://www.youtube.com/watch?v=fgFLBu-BgY4
 
◎クリス・ハート - ラブ・ストーリーは突然に
 曲の要所でトライアングルの音が入る。その鋭さが前回の試聴よりも五割程度増えた感じだ。
   従前のスピーカーユニットではキラキラと光るような感じが在ったが、それが無い。
 高い周波数での性能が低いようだ。
 https://www.youtube.com/watch?v=FdCWgBpfePo

◎Dave Brubeck - Take Five
 ピアノもサックスも素晴らしい。従前はドラムの、シンバルが弱い感じだったが良い感じになった。
 シャリシャリとした感じも在る。
 https://www.youtube.com/watch?v=tT9Eh8wNMkw

更に性能が向上するのを期待してコーンの裏側に3回目のセラックニスを塗った。

16.13 コーンの強化と試聴6  2021,02,10 実施
コーンの裏側に3回目のセラックニスを塗ってから四日が過ぎた。
前回から音は変わってないだろうと予想して試聴したが外れた。

セラックニスを前回よりも一回塗り重ねただけなのに格段と楽曲の魅力が増した。
聴いた全ての楽曲が前回よりも良い感じで特にトランペットとテナーサックスが魅力的になった。
その結果、ジャズ全般が楽しく聴けるようになった。

弱点だったトライアングルの金属が衝突する音は明らかに増えた。
しかし魅力を感じない。改良の余地がある。
生々しい音を目指しているが、それに近く”生”くらいになった。

試聴したのは下記の楽曲だ。
   
◎リベルタンゴfeat.川井郁子/齋藤順
 冒頭にウッドベースを弓で弾く演奏が在る。これが特に良い感じだ。
 https://www.youtube.com/watch?v=VN9rY5gTNI8

◎Cantaloupe Island featuring Herbie Hancock / Blue Note Concert Live - HD
 録音が良く楽しい。気持ちよく最後まで聴いた。
 https://www.youtube.com/watch?v=2VN8zH366M8

◎Phil Collins Big Band - Pick up the pieces
 以前に聴いたときは煩いだけだったが、心地よく聴けた。
  この演奏に使われているピアノはヤマハのようだ。スタンウエイとは少し音色が違う。
 自分はヤマハの方が華やかで好きだ。
 https://www.youtube.com/watch?v=R9eQkTJZlNk

更に性能が向上するのを期待してコーンの裏側に4回目のセラックニスを塗った。

16.14 コーンの強化と試聴7      2021,02,16 実施
コーンの裏側に4回目のセラックニスを塗ってから六日が過ぎた。
流石に前回から音は変わってないだろうと予想していたが、またも外れた。

弱点だったトライアングルの問題は解消し魅力的になっていた。
シンバルの音もシャリシャリとした音が美しく響くようになった。

4時間半に亘って聴いたが、不自然なところは無く良い感じだった。
もちろん聴き疲れなど全くなく、心地よい音で”虜効果”が強くなった。

時間が掛ったがSPユニットのチューニングは完了だ。
それにしても一度のセラックニス塗装で音が良くなったのには疑問がある。
若しかすると前に塗ったセラックニスの硬化に時間が掛ったのかも知れない。

沢山の楽曲を試聴したが特に良かったのは下記だ。

◎人生のメリーゴーランド/Merry-Go-Round of Life Joe Hisaishi/Yuto Yamada)
   女性4人がサックスで演奏した曲だ。演奏も録音も素晴らしく3度も繰り返し聴いてしまった。
 何度聴いても飽きず心地よい演奏だ。
 https://www.youtube.com/watch?v=YoGQrM8v23c

16.15 六日間放置後の試聴8         2021,02,23 実施
前回の試聴でセラックニスの熟成によりコーンの強度が上がり音が良くなっている可能性を感じた。
その確認のために6日間放置した後に試聴した。その結果、音が僅かに良くなっていた。
セラックニスの熟成が徐々に進んでいるようだ。

試聴には従前と同じ楽曲を聴いた。前回と殆ど同じ音だがトライアングルとシンバルの魅力が増した。
それによって楽曲に係わらず心地よい音を出すようになった。

そこで再生が難しいCDをiTuneに入れて聞いてみた。
10年ほど前に買った MIDNIGHT SUGAR / Yamamoto,Tuyoshi trio だ。
冒頭からウッドベースのピッチカートで始まる。それにピアノが続く。
以前の円筒形スピーカーでは歯が立たなかったが、良い感じでアルバムを最後まで楽しめた。

その後YouTubeに高価と思われるオーディオセットで
MIDNIGHT SUGARを鳴らした動画が複数あるのを知った。
それらを聴いてみると各オーディオセットの音に個性が聞き取れ興味深かった。
相対的に自分のオーディオセットの音を評価するのに役立った。

16.16  十二日間放置後の試聴9        2021,03,01 実施
前回と同様の楽曲を聴いたが差異は感じなかった。セラックニスの熟成は収まったようだ。
高音から低音に至るまで充分な音量で、残響が全く無い透明な音が大いに気に入っている。

そこで今まで聴いていなかった楽曲を聴いてみた。

先ずヘンリク・シェリングの無伴奏パルティータを聴いた。
バイオリンの基本波(基音)から高調波(倍音)まで出ているようで心地良い音で鳴った。過不足は感じなかった。
しかしバイオリンには低音が少ないので従前の円筒形スピーカーでも良い音が出ていた。

次に小沢征爾氏指揮の2002 ウイーンフィル・ニューイヤー・コンサートを聴いた。
オーケストラなので音量のコントラストが大きい。
直径3インチのスピーカユニットが一個だけのスピーカーでは対応が難しいのではないかと考えていた。
ところが、”悪魔のポルカ”を聴いてみると少数の楽器が鳴るときは美しく、
大音量でドッカーンと鳴る際には体に圧力を感じる。
従前の円筒形スピーカーとは臨場感が違う音で素晴らしい。

直立円筒形バックロードホーンの製作目標は3インチのスピーカーユニット一個で低音から高音まで
賄う事だった。バックロードホーンによって低音が強化され目標に到達した。

小径のスピーカーユニットが一個なので倍音のタイミングが狂わない。
2ウエイや3ウエイスのピーカーに必要な周波数分割ネットワークが無いので音の劣化を回避できる。

ボイド管によるバックロードホーンの製作は大成功だった。

16.17  外観の整備 1       2021,03,12  実施
直立円筒形バックロードホーンの音に不満が無くなった。
そこで少し格好を良くしようと考えた。
最も不格好なのはスピーカーマウントの色が合わない点だ。
左は灰色一色で地味だが右側は赤と黒で格好が良い。
そこで左側の灰色を赤と黒に替えるべく新たに3Dプリンターで造形した。


完成したマウントを左側へ取付けた。
色が違うだけで形や寸法は同じなので交換は簡単だった。
下の写真で奥が新しいマウントでピンボケだが、手前のマウントと外観は同じだ。
スピーカーユニットは環状ゲルの上に載っているだけで固定していない。
フローティングマウントなのでスピーカーユニットの淵を上から押すとゆらゆらと揺れる。


次にボイド管の塗装を考えた。従前のように白色にしたかったのだが、
ボイド管に印刷された文字が透けないように白色を塗るのは難しい。
そこでダイソーで売っている”剥がせる壁紙”を右側のボイド管へ貼ってみた。
しかし貼るのが難しく皺が出来て取れなかったな。
それに色の感じも好きになれなかったので写真を撮った後に剥がした。


上の写真は我がオーディオシステムだ。値の張る機材は無いが心地良い音で鳴ってくれる。

音源はパソコンのiTuneを使っている。Youtubeもこのパソコンで鳴らしている。
パソコンはリース戻りの中古だ。CPUはCore i5で2コア4スレッドだ。
メモリーを8GBへ増強し、HDDをSSDへ換装した。OSはWin10へ更新した。
処理能力は音楽を鳴らす用途には充分に速い。

中央に見える青と白の小箱は自作したDACだ。
倍音のタイミングが狂わないように回路を設計した。

アンプはジャンクで買ったケンウッド製のKAF-5002を改造した。
主な改造点は音声信号のカップリングに使われていた電解コンデンサを
プラスチックフィルムコンデンサへ交換し、電源ラインへ大容量セラミックコンデンサを追加した。
どちらのコンデンサもKAF-5002が作られた当時には市場に無かった物だ。
この改造により音質は飛躍的に向上した。

16.18  外観の整備 2       2021,04,03  実施
一か月ほど前にボイド管へ壁紙を貼って失敗した。
思案していたところ昔の仕事で指導をしていただいた先輩からメールが入り
サーフェイサーという下地処理用の塗料を教えてもらった。
サーフェイサーを使うと下地の印刷が透けないそうだ。

殆どのサーフェイサーは白か灰色なのだが煉瓦色があったので購入した。
室内でスプレー塗料は使いたくないので車庫へ持ち出して塗装した。


片側だけ塗るのにスプレー缶を一本使い切った。近々残りの一本も塗る予定だ。
塗り方が雑で良く見るとボイド管の文字が透けている部分が在るが細かい事は気にしない。
塗装後の表面が艶消し状態だが、上塗りをして艶々にする必要性は感じていない。


塗装後は約30分で乾いた。
早速SPユニットを載せて鳴らしてみたところ塗装前より音が良いような感じを受けた。
その直前までモノラルで聴いていたのでステレオ化による効果だろう。
肝心の色はプラスチック部品と塗装色とのバランスが良くないが、
ボイド管の印刷が見えなくなり良い感じだ。手前味噌だが気に入っている。

16.19  外観の整備 3       2021,04,08  実施
五日前に塗った左側に続いて残りの右側を塗った。これで直立円筒バックロードホーンは完成だ。
ボイド管に印刷された文字が消えて少し格好良くなった。
何故か後から塗った右側が明るく赤い。肉眼で見ても少し赤い。
スプレー缶が違うので色にバラツキがあるのか、
時間経過と共に落ち着いた色に変わるのか判らない。暫く様子を見よう。


17.  録音実験 1 失敗          ( ’21,03,25  実施)

直立円筒バックロードホーンの音の良さを文章で解ってもらうのは難しい。
そこで録音してyoutubeに掲示しようと考えた。
しかし録音できる機材が無い。在るのは動画が写せるデジタル一眼レフだけだ。
試しにデジタル一眼レフで動画を撮ってみる事にした。

下の写真の様に三脚にデジタル一眼レフを固定して撮影した。


鳴らしたのはMIDNIGHT SUGAR / Yamamoto,Tuyoshi trio と
テナー・サキソフォンによる無伴奏チェロ組曲 / 清水靖晃氏だ。
どちらも円筒形スピーカーでは魅力的な音を出すのが困難だった。
直立円筒形バックロードホーンで楽しめるようになった曲だ。


結果は失敗だった。画像は綺麗に撮れているのだが音が割れてガサガサだ。
MIDNIGHT SUGAR ではウッドベースをの絃を弾いた音が罅割れる。
ピアノのでも同様に音の頭が割れる。

失敗の原因は録音レベルをモニターできず最適に合わせられなかった事だろう。
もしかするとデジタル一眼レフの音声記録部のダイナミックレンジが狭いのかも知れない。
画像の品質には注力して作っていそうだが高品質録音は狙ってないのだろう。

デジタル一眼レフでは綺麗な音を記録するのは難しそうなので
中古のリニヤPCMレコーダーを調達しようとしている。

18.  録音実験 2   失敗         ( ’21,04,04  実施)

前回の録音実験では一眼レフカメラを使って失敗した。
そこで中古のリニヤPCMレコーダーをヤフオクで調達した。TASCAM DR-05だ。
それを三脚の上に載せて録音した。
鳴らしたのはMIDNIGHT SUGAR / Yamamoto,Tuyoshi trioだ。


録音の解像度とサンプリング周期はWAV 16bit  44.1kHz で行った。
しかしファイルが巨大になりWindowsが上手く扱えないらしいのでMP3へ変換して掲示した。
下の三角マークをクリックすれば録音したMIDNIGHT SUGAR が再生される。

        

Youtubeには沢山のMIDNIGHT SUGAR が掲示されている。
それらの中にはCDからスピーカーを経由しない音を挙げている物も在る。
また高価そうなオーディオ装置で鳴らした音を挙げている物も沢山ある。
聴き比べて頂ければ直立円筒バックロードホーンの優れた低音再生能力が解るかもしれない。

TASCAM DR-05は操作性が良く工夫されており使い易いレコーダーだ。
しかし録音の際にダイナミックレンジに収めるのが難しかった。
自分は生演奏を聴くのと同じ程度の音量で聞くので音量過大だったのかも知れない。
ピアノの鍵盤を叩いた瞬間やウッドベースの絃を弾いた瞬間の部分でPEAKの警告ランプが点灯する。
なるべく点灯しないようにスピーカーの音量を絞って録音したので音が小さめだ。

録音した音を直立円筒バックロードホーンで再生してみたところ低音が籠っていた。
低音が部屋に共鳴した様だが、なぜCDで鳴らした際には籠る感じが無かったのか解らない。
バイノーラル録音にすれば籠りは解消するのだろうか。録音も再生同様に難しい。

19.  録音実験 3   失敗         ( ’21,04,08  実施)

前回の録音では音が篭った感じになり失敗した。特に低音が篭る。
若しかすると床の振動が三脚を通してリニヤPCMレコーダーに伝わり篭った感じになるのではと疑った。
そこで防振装置を作って床からの振動を遮断して録音しようと考えた。

スノコ状の枠に輪ゴムを張った防振台を考案した。輪ゴムは身近で安価な弾性材料だ。
構造が単純な上に取り付ける輪ゴムの数を変えると遮断する振動の周波数を変えられる筈だ。

スノコの下側に在る四角形の突起は、マンフロット製の三脚に合せたクイックシュー・アダプターだ。
ワンタッチで三脚の上へ取り付けたり外したりできて便利だ。

材質はPETGで印刷した。設計に半日、印刷には4時間掛かった。
ちょっとしたアイデアを手っ取り早く具現化するには、3Dプリンターは凄く便利な道具だ。


下の写真は完成した防振台にリニヤPCMレコーダーを載せて使っている様子だ。
この防振台の設計データーをThingiverseへ掲示した。


肝心の結果は、失敗だった。前回と同じで低音が篭り改善された様子は少しも無い。
耳で聞く分には凄く輪郭の鮮明な低音なのだが、録音すると篭る。何故だか判らない。

20.  録音実験 4  音質低下原因判明         ( ’21,04,15  実施)

スピーカーが出す音の録音に使っているリニヤPCMレコーダーの取り扱い説明書がWebに在った。
それを読んだところ低域カットの機能があった。設定した周波数よりも低い音を減衰させるて録音する。
しかもOFF、40Hz、80HZ、120Hzの中から選べる。

この低域カットの機能を使えば部屋の共鳴が音質低下の原因か否か確かめられる筈だ。
そこでMIDNIGHT SUGAR を鳴らして40Hz、80HZ、120Hzの低域カットで録音し評価した。
その結果120Hzでの録音には篭った感じが無かったが80Hzでは在った。
その結果から部屋の共鳴が80Hzから120Hzの間に在るらしいと判った。

この部屋は8畳でスピーカーの後ろ側には吸音スポンジが貼ってある。
天井は凹凸のある石膏ボードで床は厚い板張りだ。拳で床を叩いても響かない。
拍手しても響きは感じないので共鳴があるとは考えていなかった。
それに何故か耳で音楽を聞いている分には共鳴を感じない。

この部屋でyoutubeへUpするような高音質の録音を行うのは難しそうだ。

21.  3Dプリンターでホーンを造形         ( ’21,11,10  実施)

先に作った階段状の擬似バックロードホーンは直管に比べ、低音の再生能力が飛躍的に向上した。
階段状の部分を滑らかなホーンにしたら音がどの様に変わるのか興味が湧いた。
そこで作ってみた。従来は紙管だった部分も3Dプリンターで造形した。

我が3Dプリンター(Bear Upgrade Prusa )は高さの上限が210mm迄しか造形できない。
そこで約200mmのパイプを5段重ねにして1mの高さを実現した。
ホーンの部分は脚のレベルアジャスターと接続ネジを除いてPETG(プラスチック)で造形した。
印刷の様子はClone Prusa備忘録の大型部品の造形を参照して下さい。

下の写真は左から直管、階段状の擬似バックロードホーン、3Dプリントバックロードホーンです。


スピーカーが1本だけなのでモノラルでYouTubeを鳴らして試聴した。
心地良い音で鳴り従前との違いが判らなかった。

差異が判らないので、いつも使っているアンプ(KAF-5002 改造済み)の
スピーカー切り替え機能を使って従前の擬似バックロードホーンと
3Dプリントバックロードホーンを頻繁に切り替え音を比べた。
下の写真は、その様子だ。


その結果、高音と低音のバランスが少し違う点とピアノの音に違いが見つかった。
3Dプリントバックロードホーンの方がピアノの響きを心地良く鳴らしてくれる。
朗々と鳴る感じが自分のピアノのイメージに合っている。

音の違いは微妙なので、どちらが原音に近いのか判らない。
自分が好きなのは3Dプリントバックロードホーンの音なので、
もう一本作ってステレオ化しようと考えている。
でも造形に長時間掛り大変だ。慌てずにジックリ取り組もう。

22.  ホーンの2台目完成         ( ’21,11,26  実施)

先に作った3Dプリントバックロードホーンの音が良かったのでステレオ化すべく2本目を作った。
四昼夜連続で3Dプリンターを動かして造形した。
自分が寝ずの番をした訳ではないが、深夜の造形物取外しやベッドの掃除などの作業は必要だった。

2台目では前作での細かな設計ミスを修正した。
また外観が白一色では寂しいので赤色の下端保護リングを取り付けた。
手元に在った赤色のPETGを使いBear Upgrade Prusaで印刷した物だ。
全体の基本的な寸法は前作と同じで高さは1m、上端の内径は100mm、下端の内径は200mmだ。

ホーンの下部にはレベルアジャスターと呼ばれる金具を取り付ける。
それによって100mmの下部空間が作られるが、下の写真では取付けて無い。


23.  ステレオでの試聴 1回目        ( ’21,11,30  実施)

3Dプリントバックロードホーンの二台目が完成した。
これを仕事場兼試聴室へ運び、2台合せてステレオで鳴らした。
YouTubeとiTunesを使っていろいろな楽曲で試聴したが不得手が無い。
総ての楽曲で明らかに階段状の擬似バックロードホーンよりも良い感じの音だった。
今のところ高音から低音に至るまで全く不満が無い。過去最良の音だ。
正直のところ、これ以上は良くならないだろうと思っている。
これでスピーカー作りから卒業できるかもしれない。

興味深いのは従前と同じ楽曲を聴く際に、
アンプの音量調節ノブの位置が従前よりも少し大きめで丁度良かった。
階段状ではなく完全なホーンにした事で管内の僅かな共鳴が減り
スピーカーの能率が下がったのかもしれない。

不思議な事に大音量で鳴らしても煩く感じない。それどころか静けささえも感じる。
共鳴が無い、倍音のタイミングが狂わない、付帯音が少ない点などの効果だろうか。
それに聴き続けて疲れない。当日は3時間に亘って聴いたが疲労感は全く無かった。



YouTubeに在るDave Brubeck live 64'/66' を聞いた。従前は魅力を感じなかったが、
3Dプリントバックロードホーンではピアノの音が魅力的で1時間も聴いてしまった。

また古いビートルズのCDではエレキギターの音色が良い感じだった。
従前には無かった事だ。

24.  ステレオでの試聴 2回目        ( ’21,12,20  実施)

先輩が提供してくれたMJ Tecnical Disk Vol.6を鳴らしてみた。
これには小径のSPユニットでは再生が難しいと思われる各種の楽曲が入っている。
総てを鳴らしてみたが、不得手と思われる楽曲が無い。

中でも7番目の“Dragon Soul Big Drum 龍魂太鼓”は大きな太鼓の演奏だ。
日本の鬼太鼓座や鼓童に似た演奏で、体に響く重低音の塊のような曲だ。
当初再生が難しいかと考えていたが、問題なく迫力在る音を再生できた。
但し大太鼓の実物の音色を聴いたことが無いので再生音の品位は判らないが、
個人的には充分なレベルだと思う。

3Dプリントバックロードホーンが完成してから聴く楽曲が変わった。
もともと音楽に関心がなかったので分野を問わず心地の良い曲を聴いている。
最近はクラシックが増える傾向だ。現時点でのお気に入りは以下の様だ。

イ・ムジチ合奏団 / ヴィヴァルディ:「四季」 素晴らしい演奏、素晴らしい録音!!

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 第1楽章  高松あいさん

Dave Brubeck - Take Five  古いCDよりも録音が良い感じ。

25.  新旧の音を比較        ( ’22,02,04  実施)

早いもので3Dプリントバックロードホーンが完成してから2ヵ月以上過ぎた。
その間に何度も鳴らしたが全く不満が無い。

最近の傾向は、オーケスラを聴く頻度が増えた。最近のお気に入りはチャイコフスキーだ。
Tchaikovsky Violin Concerto in D major, op. 35 (Shaham, Gergiev & IPO)

また清水靖晃氏のサックスによるバッハ無伴奏チェロ組曲 なども良く聴く。
大谷石を掘った跡の巨大空間での演奏で残響が心地良い感じだ。
バッハ無伴奏チェロ組曲第1番テナーサックス版.wmv

我が3Dプリントバックロードホーンは何を鳴らしても心地良い音が出る。
これ以上は改良の余地が無いと思われる。

好奇心から以前の直管円筒形スピーカーと新作ので3Dプリントバックロードホーンの
音を比べてみた。アンプのスピーカー切替え機能を使って鳴らしながら切替えた。


直管円筒形スピーカーには、3Dプリントバックロードホーンの豊かな中低音が無いのが歴然だった。

直管による円筒形スピーカーでもバイオリンやギターの音は澄んでいて良い音だったが、
3Dプリントバックロードホーンの豊かな中低音はに慣れてしまった耳には物足りない。
特にピアノの音には全く魅力を感じない。優劣の差は歴然だ。

但し直管円筒形スピーカーは数年間に亘って酷使し、
その後2年間も放置したのでSPユニットが消耗したと思われる。
本来は、もう少し良い音が出たと記憶しているが定かでない。
直管円筒形スピーカーは不要になったので解体し廃棄しようと考えている。

興味深いのは、直管円筒形スピーカーにはSPユニットのボイスコイルと並列に
8Ωのダンピング抵抗を組み込んである。
3Dプリントバックロードホーンには、それが無い。

ところがダンピング抵抗が無い3Dプリントバックロードホーンでもダンピング不足を全く感じなかった。
直管円筒形スピーカーと同じように歯切れの良い音で鳴る。
しかも充分に出る低音も歯切れが良い。ボワーンとした輪郭の不鮮明な低音ではない。

ダンピング抵抗の役割は、直管円筒内で生ずる気柱共鳴のエネルギーを熱に換えて奪う。
3Dプリントバックロードホーンでは気柱共鳴が生じないのでダンピング抵抗は不要だった。
これを確認できたのは今回行った比較実験の大きな成果だった。

26.  脚部カバーの製作        ( ’22,02,23  実施)

今日も3Dプリントバックロードホーンで音楽を楽しんだ。御機嫌な音で不満は全く無い。
今日聴いたのはモーツァルト ベストだ。このところクラシックを聴くのが増えている。

音は良いのだが、外観が今一つだ。特にホーンを支える脚部の格好が悪い。
下の写真の左側の様にビスやナットガ見えている。これを何とかオシャレにしようと考えた。
そこで写真の右側のような三角形の蓋を作って嵌め込むことにした。


蓋の形は簡単に決まったが、問題は色だ。迷っても埒が明かないので色彩サンプルを作って試す事にした。
中途半端に短い使い残りのPETGフィラメントが幾つも在った。色は赤、白、黒、灰色、黄色の五色だった。
短いが捨てるのは勿体無い長さのフィラメントだ。それらを消費するのに丁度良い成型対象だった。

それらを使って成型した蓋を嵌め込んだのが下の写真だ。
見た感じでは中央の灰色が軟らかい雰囲気で自分の好みだ。灰色に決定した。


27.  Studio Enzaの方々が試聴        ( ’22,03,05  実施)

Studio Enzaの方々が遠路を自分の仕事場へ来られました。
目的は3Dプリントバックロードホーンの試聴と3Dプリンターの見学です。
自分としても音楽家に聴いてもらえる貴重なチャンスでした。
ベンチャーズからオーケストラ、津軽三味線まで多様な楽曲を聴いていただきました。
その結果、3Dプリントバックロードホーンに好意的な評価を頂きました。

その後、3Dプリントバックロードホーンを造形したBear upgrade Prusaのデモを行い
簡単な円筒形のサンプルを印刷してPrusaの優れた仕組みを説明させて頂きました。
写真の左下に我が3Dプリンターが写っています。

最後に携行して頂いたバイオリンを目の前で演奏してくださいました。
素晴らしい演奏で感動しました。
オーディオ装置で生のバイオリンの魅力を再現するのは困難と悟りました。


試聴が終わった後にアンプ(改造KAF-5002)が不調になりました。
入力選択スイッチが勝手に切り替わって音が出なくなってしまうトラブルです。
過去にも同様のトラブルを起こし修理したのですが再発しました。
中古で売られているKAF-5002でも、同様のトラブルが多発しているようです。
古いアンプなので故障は避けられません。試聴の最中に壊れなくて不幸中の幸いでした。

28.  デジタルアンプで試聴 - 1回目        ( ’22,03,12 実施)

昔作ったデジタルアンプが納戸に在るのを思い出した。KAF-5002が不調になったので代わりに使ってみた。
当初は良い音が出なかったが、出力のフィルタが8Ωのインピーダンスに最適化されている為だった。
そのフィルターを4Ω用に改造して試聴したところ高音は鋭い感じになり、低音は今まで以上に鮮明になった。
パイプオルガンによるトッカータの低音が魅力的だ。KAF-5002よりも生々しい感じの音だ。

下の写真でKAF-5002の上に載っているのがTA-2020を使ったデジタルアンプだ。


このデジタルアンプはTA2020を使っている。直流電源はSW方式だがノイズフィルタと
大容量のブラックゲートコンデンサと電解コンデンサを併用している。電源を切ると
前面のLEDが完全に消えるまでに10秒程度かかる。

問題も在る。KAF-5002に比べて大音量が出ない。大きな音で鳴らすのが好きなので物足りない。
自作したUSB-DACの最大出力は1V-PPなので小さいのが原因だろう。
TA2020の初段の利得は1倍だが、負帰還抵抗を変えて2程度にするつもりだ。

KFA-5002のトラブルは収まってしまった。どうやら3時間以上継続して鳴らすと
不安定になるようだ。制御しているワンチップコンピュータが誤動作するらしい。
原因はわからないが過熱だろうか。

29.  デジタルアンプで試聴 - 2回目        ( ’22,03,19 実施)

前回の試聴でTA2020アンプの利得が小さく充分な音量で聴くことが出来なかった。
そこでTA2020の入力段に内蔵されているOPアンプの利得を上げた。
具体的にはフィードバック抵抗(Rf)の20kΩに18kΩを直列に追加した。
これによって利得は1倍から1.9倍へと増えた筈だ。

試聴して見たところ利得は充分になった。
いろいろな楽曲を聴いたがボリュームを最大にする事は無かった。
最大でも90%位だった。利得1.9倍は丁度良かった。

これで自分が好きな大音量で聴けるようになった。
肝心の音は、透明感が増した。またダイナミックレンジが広がったように感じた。
パイプオルガンのトッカータを鳴らした際の低音大音量でも音色が判る。
低音の駆動能力はKAF-5002よりも優れている。デジタルアンプは素晴らしい。

従前の直管を使った円筒形スピーカーでは気柱共鳴を避けられなかった。
その気柱共鳴を押さえ込む為にダンピング性能の良いアナログアンプを用いていた。
3Dプリントバックロードホーンでは気柱共鳴が生じないのでダンピング性能が低い
ディジタルアンプでも良い音が楽しめるのだと推定している。

30.  防塵カバーの製作        ( ’22,04,13 実施)

使用したSPユニットにはセンターヨークに連なる円錐状のデフュザーが在り、
コーンの中央部に開けた丸穴からデフュザーが飛び出している。

コーンに溜まった埃は鳴らした際の振動による”漏斗効果”で中央に集められ
デフュザーとの隙間に落ち込む恐れがある。
最終的にはボイスコイルとセンターヨークの間の磁気ギャップに溜まるだろう。
そうなれば音質の低下や異音の発生を引き起こす原因になるる。


トラブルを回避する為に、埃の進入を防ぐSPユニット用のカバーを作った。
手っ取り早く3D-CADで設計し3Dプリンターで造形したのが下の写真だ。


裏面は位置決めの為に突起を設けた。SPユニットのフランジに在る穴に合う位置だ。


当初の構想どおりのカバーができた。写真を見ながら気づいたのだが、
SPユニットを支える防振ゲルの上も覆う庇を付ければ更に良かった。
次に作る機会が在れば改良しようと思う。

31.  スマホのFFTで観測        ( ’22,05,10 実施)

技術の進歩は素晴らしく20年前には高級ディジタルオシロの機能だったFFT(高速フーリエ変換)が
スマホのアプリになった。スマホにはマイクとディスプレイが備わっているので簡便にオーディオ装置の
特性を観測できる筈だ。自分は古いiPhone 6+を使っているのでSonic Tools SVMを使った。
驚いた事に無償で提供されていた。Androidにも類似のアプリが在るらしい。

オーディオ装置でホワイトノイズを鳴らしてSonic Tools SVMで観測すれば容易に周波数特性が把握できる。
信号源はYoutubeに在る【高音質】 ホワイトノイズ White noise を使わせて頂いた。

その結果、概ねそれらしい観測結果が出たが、信号源にしたWhite Noiseが本当に白色なのか、
また古いiPhone 6+でSonic Tools SVMが正しく動くのか検証が必要だ。

31-1 スピーカーの直近での観測
自作した直立円筒バックロードホーンの音を観測したところ、下の写真のように概ね平坦な特性を示した。
10KHz以上が弱くなっているのは自作したDA変換器の特性によるものだ。

自分は平坦な周波数特性よりも倍音の正確なタイミンを重視している。
そのような回路でDA変換器を設計した結果10KHz以上が弱くなったが、
自然で疲れないレコードの様な音で気に入っている。



31-2 試聴位置での観測
いつも音楽を楽しんでいる位置で観測したところ下の写真のようになった。
スピーカーからの距離は2m程度で地上高は1m程度だ。
観測結果は3KHz以上が急激に弱くなっている。

原因はSPユニットが上を向いている事と、
部屋の天井や床の絨毯、壁などの反射と吸収が考えられるが真相は判らない。
スピーカーは木造の家屋に設置してあるが音への影響は少ないと判断している。

観測結果は兎も角、自分は、その音を気に入っている。特にピアノとオーケストラが魅力的だ。


31-3 自宅リビングでTVの観測
我が家は団地の一室だ。そのリビングでTVをYouTubeへ繋ぎ
White Noiseの音を観測したところ下の写真のようになった。
床はコンクリートの上にパンチカーペットが敷いてあり壁には壁紙が貼ってある。
観測結果はお世辞にも良いとは言い難い結果だった。

年始のTV番組に芸能人格付けチェックというのが在り、毎年楽しみにしている。
その中に名器の音色と安価な初心者用楽器の音を聞き分ける設問がある。
自分でもTVで演奏を聴いて自分なりの答えを出して楽しんでいる。
以前のTVでは名器ストラディバリの音を簡単に聞き分けられたが、現在のTVにしてから外すことが多い。
加齢による聴力の低下かと諦めていたが、どうやらTVに原因がありそうだ。


31-4 吸音スポンジの影響調査  2022,05,24実施
我が家では、下の写真の様にスピーカーの背後にスポンジが凸凹になった吸音スポンジを設置してある。
高音が弱い原因は、その吸音壁の周波数特性が影響しいるのかも知れないと考えた。


調べるために、下の写真のように吸音スポンジを外してスマホのFFTで観測した。
スピーカーの背面は書棚になっている。


SPユニットの上では、吸音スポンジが在る場合と殆ど同じだった。


ところが試聴位置での観測結果は違った。
下の写真は、自分が聞く試聴位置での観測だ。3kHz以上の周波数の落ち込みは無かった。
この結果から吸音スポンジが、3KHz以上の周波数を良く吸音するらしい

10KHz以上の急激な減衰は自作したDACの特性によるものだ。
以前にも書いたが、自分は平坦な周波数特性よりも倍音の正確なタイミンを重視している。
そのような回路でDA変換器を設計した結果10KHz以上が弱くなった。


吸音スポンジを下の写真のように部屋の左右に立掛けて背面設置との差を観測した。
驚いた事に試聴位置では背面設置と同様に3kHz以上の周波数が弱くなっていた。
SPユニットの背後でなくとも吸音スポンジには吸音効果が在るようだ。


吸音スポンジを部屋の外へ出して音楽を聴くと、シンバルやトライアングルなどの
音量が増し音の鮮度が上がったように感じた。これが良い感じか更に充分な試聴が必要だと思う。

31-5 吸音スポンジの要否判定  2022,06,07 ~ 2022,06,21実施
吸音スポンジを部屋から運び出して各種の音楽を聴いた。

その結果、高音が増えて音楽が華やかになる。反面少しだが煩く感じる。
音量が増えて煩いのではなく、聴きたく無い音が増えたと思われる。
たぶん室内の多重反射によりタイミングがズレた音だろう。

吸音スポンジが在った場合には何時間も続けて聴きたくなる”虜効果”が在ったが、
それが希薄になった。また音楽を聴いている間も静けさを感じる矛盾した感覚も失われた。
よって吸音スポンジは必要との結論に至った。

その後吸音スポンジを戻して音楽を楽しんでいる。
このところ聴く音楽のジャンルが広くなった。ジャズやロック、弦楽四重奏などは従前と同じだが、
オーケストラを良く聴くようになった。
直立円筒バックロードホーンの輪郭が鮮明でダンピングの効いた低音再生能力が
オーケストラの魅力を引出せるからだと考えている。

しかし高音不足の問題は残る。そこでスピーカーユニットを高音の性能が高い物に交換して試す事にした。
マグネットはネオジムでコーンはカーボン、中央のキャップはチタンという意欲作だ。
現用の物と若干寸法が違うので3Dプリンターでの作り直しが必要だが、
設計を修正すれば3Dプリンターが作ってくれるので大きな問題ではない。

一ヶ月ほど前にAliexpressへ発注したのだが、まだ届かない。追跡したところ中国内の物流ラインで
磁気製品との理由でラインから外され荷主へ戻されたようだ。ちょっと困ってます。
下の写真はそのスピーカーユニットです。


32.  カーボン・コーン・スピーカーに交換        ( ’22,08,03 実施)

Aliexpressへ注文したカーボン・コーンのSPユニットが届いた。

当初注文した店が中国内の物流ラインで磁性物質として二度も発送を拒否されたらしい。
挙句の果てに代金払い戻し請求の手続きを要請してきたので手続きを行い返金してもらた。

Aliexpress内には同じSPユニットを扱う店が在った。
その業者は価格が高かったが、発注してから一ヶ月で商品が届いた。発送元は台湾のようだ。

届いたSPユニットに仮想グランドを接続する為のコネクターを接着した。
従前のSPユニットと後部の形が違う為に設計を修正し3Dプリンターで造形した。


仮想グランド用コネクターを接着したSPユニットをホーン部に組み込んだ。
フランジの直径が従前よりも僅かに大きいのだが何とかマウントへ収まった。
この部分は設計の修正が必要だ。



円筒ホーンへ組み込んだ新SPユニットをステレオで鳴らした。
当初は魅力の無い音だったが、2時間に亘って鳴らしたところ良い感じに変わった。
このSPユニットは高音に透明感があり金属製打楽器の音が魅力的だ。

 現時点では従前のSPユニットに比べて低音が弱い。
 既存のマウントに無理矢理載せたので合わなのが原因かエージング不足の為か判らない。
 SPユニットが成熟したらマウントを作り直す予定だ。

 驚いたのは音量だ。音量調節ノブの回転角が従前の半分程度で聴いている。
 高音が多くて煩く感じるのか、新SPユニットの能率が高いのか判らない。

32.1 SPマウントの製作 1回目   ’22,08,05 実施
前回の試聴ではサイズの合わないマウントへ新スピーカーユニットを載せて音楽を聞いた。
それでは正確な評価は難しいので寸法を修正したマウントを作った。
SPの鍔が収まる窪みの直径を2mm広げた。またテーパー部の長さを1mm延長した。
色に拘りは無かったので手元に在ったフィラメントを使った。
白く見えるゲル押さえリングは透明のフィラメントを使ったのだが白色の様に見える。
全体の造形に概ね10時間掛かった。これでどのような音が出るのか、次の試聴が楽しみだ。


32.2 カーボン・コーン・SPの試聴   ’22,08,08 実施
造形したSPマウントをホーンへ組込み、5時間に亘って音楽を聴いた。
サイズが合わないSPマウントよりも全体的に良い感じだ。
特にピアノの音色が従前よりも生々しく魅力的だ。

従前のSPユニットでは大太鼓の音が胸や腹に響く衝撃を感じたが、それが弱い。
そのような衝撃が音楽鑑賞に必要なのか疑問があるが、出たほうがリアルだ。
SPユニットが成熟すれば低音が増えるのではと期待している。


32.3 カーボン・コーン・SPのFFT観察 1回目  ’22,08,16 実施
鳴らし始めてから 延べ9時間が経過した。
SPユニットの成熟が少し進み良い感じになった。
透明感のある綺麗な音で長時間に亘って聴いても全く疲れない嫌味の無い音だ。
高音が弱い感じも無い。SPユニット交換の狙いは的中したようだ。

そこでスマホを利用したFFT(高速フーリエ変換)で周波数特性を観察してみた。
概ね平坦で従前の3KHz以上の落ち込みも少ない。聴いた感じと符合している。
難点は200Hz以下が弱い。成熟が更に進み改善される事を期待している。


下の写真は比較の為に挙げた従前のSPユニットでのFFTだ。凹凸が大きい。


32.4 SPマウントの製作 2回目  ’22,08,18 実施
前回作ったSPマウントではSPユニットがSPマウントよりも上に2mm高く飛び出していた。
調べた所、カーボン・コーン・SPの枠はプラスチック製でフランジ部が厚く作られていた。
格好が悪いのでSPマウントのゲル押さえリングを上へ2mm延伸した。

造形には透明のPETGを使った。内部充填が14%で空気層があるので白く見える。
いつもと同じでマウント部とゲル押さえリングは別に造形し接着した。


32.5 カーボン・コーン・SPのFFT観察 2回目  ’22,08,21実施
新作のSPマウントをホーンの頂上へ組み込んだのが下の写真だ。
SPユニットの周りの傾斜した部分の傾きが大きく、鍔が浮き上がっていない。


新作のSPマウントを取付けた状態でホワイトノイズで鳴らしFFTを観察した。
以前のSPマウントでは弱かった200Hz以下が改善されているように見える。
但し当日は暑かったのでエアコンを使っていた。その騒音が影響している筈だ。

観測に使ったホワイトノイズは検索キーに"white noise audio test"と入力し挙った下記を使った。
  https://www.youtube.com/watch?v=iEnRj1h9Deo

YouTubeでWhite noiseと検索すると白色でなく高域が削られたと思われるPink noise風の
音源が多数表示される。それらは間違った答えに導くので要注意だ。


この状態で幾つかの楽曲を聴いてみた。何れも良い感じだった。
◎Ron Carter Plays Bach
 バッハのチェロ無伴奏をウッドベースのピッツィカートで演奏したアルバムだ。
 総てがウッドベースの音だ。ウッドベースの低音が魅力的だ。
 聴いていると心地が良くアルバムを最初から最後まで聴いた。
 直立円筒バックロードホーンの低音再生能力に不足は無いのを確認できた。
 自分はCDをiTuneに記録して再生した。YouTubeにもPlays Bachは在る。
 
◎無響室録音・チェロ
 YouTubeに在るオーディオテスト用の音源だ。音階を下から上まで弾く。
 音階の次にチャイコフスキーのロマンスを奏でる。これも美しい音だ。
 チェロの音が好きになった。

日本のうた 鮫島由美子
 昔買ったCDで鮫島由美子氏がピアノの伴奏で歌う。
 これをiTuneに記録して再生した。
 麗しい歌声もピアノの伴奏も心地が良くアルバムを最初から最後まで聴いた。

 YouTubeにも日本の歌が在る。聴いてみたがスクラッチノイズらしき雑音と
 音割れが在り自分のCDほどに良い音は聴けなかった。

32.6 SPマウントの製作3回目とFFT  ’22,08,29 実施
SPマウントの寸法を変えると音が微妙に変わる。
理論的に最適な寸法を割り出す能力が無いので少しずつ寸法を変えて試している。
下手な鉄砲も数撃てば当たる筈だ。
今度のは1回目と2回目の中間で傾斜部の長さが27mmだ。

従前と同じようにマウントとゲル押さえを別々に造形して接着した。
今まではバイスで締めて接着剤を流し込んでいたが、ちょっと工夫した。
写真の様に造形の際に楊枝を立てる穴を作り位置決めをした。
それに輪ゴムを掛けてマウントとゲル押さえを固定して接着した。


下の写真は、完成したマウントをホーンに搭載した様子だ。
音楽を聴いたところ、各楽器の音色が綺麗に感じる。前作よりも良い感じだ。


新しいマウントで周波数特性を観測した。方法は従前と同じスマホによる高速フーリエ変換(FFT)だ。
観測に使ったホワイトノイズは検索キーに"white noise audio test"と入力し挙った下記を使った。
  https://www.youtube.com/watch?v=iEnRj1h9Deo


FFTの結果では前作よりも低音が弱くなっている。
ところが低音が少し弱いほうが楽器の音色が一層綺麗と感じる。
人の耳の好感度は周波数特性とは一致しないようだ。

下の写真の状態で試聴した。マウント部を変えたが従前と殆ど同じだ。
手前には過去に試したマウントを並べてある。


33.  センターキャップの凹み修復        ( ’22,08,30 実施)

センターキャップの凹みを一週間前に発見したが、自分には凹ませた覚えは無い。しかし自分しか居ない。
たぶんSPマウントを換えて試聴を繰り返したので、その作業中に何かをぶつけたのだろう。
このスピーカーのセンターキャップは金属でチタン製だそうだ。


センターキャップを負圧で吸込めば凹みを元のように吸い出せる筈と考えた。
センターキャップの直径は22mmだったので、それに合せたノズルを3Dプリンターで造形した。
素材は弾性のあるTPUフィラメント(ゴム素材)を使った。
下の写真で50mLのシリンジの先に嵌めてある黒くて丸いのがノズルだ。


シリンジの吸引力では不足の場合を考えて掃除機を使う場合を想定し、掃除機用ノズルも作った。
しかし掃除機では吸引力が強すぎる心配があった。


先ず無難なシリンジを試した。
最初はゆっくりとシリンジを操作しノズルの具合を確認した。
次に勢い良くシリンジを引いたところ"パチン"と音がして凹みが戻った。
その結果が下の写真だ。一部に折り目が残っているが、大成功だと言える結果だ。


掃除機の出る幕は無かったが、センターキャップの凹み修復は成功した。
成功の鍵は3DプリンターとTPUフィラメントだ。3Dプリンターは便利な道具だ。

34  鍔のネジ穴塞ぎ / 完成        ( ’22,09,10 実施)

一般的にSPユニットの鍔には固定用ビスを通す穴が数箇所に開いている。
我が円筒形スピーカーではSPユニットがゲルの上に載っているフローティングマウントなので
固定しておらず揺ら揺らしている。そのゲルの上に鍔の穴が位置している。
音への影響は無いだろうと考えていたが、格好が悪い。

そこで下の写真のようなゴム栓を3Dプリンターで造形して埋めた。素材はTPUだ。
直径は下段が6.6mmで0.2mmの突起、上段が4.6mmで高さは3.5mmだ。
陶芸の紐作りに似ているが、紐の太さは直径0.4mmだ。


作ったゴム栓で穴を埋めたのが下の写真だ。


ネジ穴を塞いだ後に試聴をしたところ低音の感じが少し変わった。
低音の量が増えたのではなく従前よりも低い周波数まで出ているような気がする。
ネジ穴から空気が漏れていたのだろうか?。 謎だ。

当日は下記のCDアルバムを聞いたが、何れも良い感じだった。
どうやら我が直立円筒バックロードホーンは完成したようだ。

◎Midnight Sugar | Yamamoto Trio, Tsuyoshi
 円筒形スピーカ作りを始めた頃に買ったCDだ。
 以前は再生が難しかったが、直立円筒バックロードホーンでは楽々と鳴った。

バッハ無伴奏チェロ組曲 テナーサックス版 清水靖晃氏 
 大谷石の採掘跡の巨大空間での演奏だ。独特の大きな残響が美しい。
 
◎バッハ:無伴奏チェロ組曲ホルン版 ラデク・バボラーク氏
 無伴奏チェロ組曲を一人で演奏している。素晴らしい技術と体力。

◎Ron Carter Plays Bach ロン・カーター氏 (以前に紹介済み)
 
◎無響室録音・チェロ   (以前に紹介済み)
 
日本のうた 鮫島由美子氏   (以前に紹介済み)

下の写真は完成した直立円筒バックロードホーンの雄姿だ。色は下から赤、白、青のトリコロールだ。


35  実験 22,11,02        ( ’22,11,02 実施)

◎35-1 スピーカーマウントの交換
好奇心から 以前に外したスカート部が少し長い旧マウントへ戻してみた。
カーボン・コーン・SPに変えてから随分と時間が経ったのでダンパーやエッジの熟成が進み安定した筈だ。
以前は安定していなかったと思われるので旧マウントを再評価する。
2時間程度聴いた感じでは少し低音が増えたようだ。ピアノの音が魅力的になった。


◎35-2 左右のスピーカーの間隔を変えた
完成した直立円筒バックロードホーンで左右のスピーカーの間隔を変えて試した。
従来は1mにしていたのだが、1.2mにしてみた。聴いたところ1mよりも良い感じだった。
音が広がる感じが心地良い。このところオーケストラを聴く機会が増えたからか?
更に1.4mに拡げたところ散漫な感じになってしまった。暫くは1.2mで運用する。
聴く位置がスピーカーから2.5m程度の距離だ。何か関係がありそうだが判らない。


36  空気漏れ抑制の実験       ( ’22,11,2 着手)

以前に実施した鍔のネジ穴塞ぎで低音が僅かに増えたように感じた。
増えたとすれば空気漏れが減ったからだろう。

他に空気が漏れる可能性が疑われる部分を考えるとゲルリングの隙間が広過ぎると思われた。
またマウントと円筒の接合部も平面同士の突合せなので漏れが疑われた。
現状でも生演奏のような良い音を出すが、空気漏れを減らして音が変わるか試す。

そこで弾性のあるTPUフィラメント(ゴム素材)でガスケットを造形した。
下の写真は造形したガスケットの設計に齟齬が無いか組み合わせて調べている。
幸い何も問題点は無かった。最近粗相が多いので一発で成功したのが嬉しい。

黒い輪がガスケットだ。左はゲルリング用で右はSPマウント用だ。
使ったフィラメントは灰色がeSUNのPETG、透明もeSUNのPETG、黒はAystknietのTPUだ。



36-1 ガスケット組込み後の試聴     2022,11,25 実施
いつもの様にMidnight SugarRon Carter Plays Bach無響室録音・チェロ
日本のうた・鮫島由美子氏
などの楽曲を聴いた。その何れでも音の魅力が大幅に増した。
正直のところ大きな期待はしていなかったので少々驚いた。

Ron Carter Plays Bachは「無伴奏チェロ組曲」をベースのピッツィカートで演奏している。
演奏の中で和音を弾くのだが、それが混じらず従前よりも心地良い音だ。
直立円筒バックロードホーンは驚くほどの高い解像度で低音を奏でる。
一般的にバックロードホーンの低音は輪郭が不鮮明な音が多い様だが、
我が直立円筒バックロードホーンは鋭い低音を出す。


上述の楽曲はガスケット無しでも楽しめた。そこで苦手だった楽曲を試した。
従前はBeegie Adair Trio - Autumn Leavesには全く魅力を感じなかった。
それがガスケット組込み後ではピアノが良い感じで最後まで楽しめた。


オーケストラも試した。
九大フィルハーモニーが奏でるドヴォルザーク: 交響曲第9番「新世界より」だ。
演奏と録音が良く従来も楽しめたのだが、ガスケット組込み後ではオーケストラの迫力を感じた


いろいろと聴いた感じでは、音の魅力が増えたのは再生下限周波数が下がった為と
推定している。それにしても空気漏れの影響が大きいのに驚いた。

空気漏れ抑制は大成功だったが、失敗もあった。
下の写真はマウントを固定するビスを強く締めすぎてホーン側に剥離を生じた。
PETGは層間の融着が強く剥離は起こりにくいのだが、力一杯ドライバーを廻したのが失敗だった。
剥離した部分の表面は厚さ1.2mmで中空だ。
8箇所のネジ締め部で一箇所だけなので音に影響は無いと考えている。


36-2 FFTによる周波数特性の把握     2022,11,29 実施
ガスケットで空気漏れ対策を施した直立円筒バックロードホーンの周波数特性を
スマホを使った高速フーリエ変換(FFT)で観測した。
観測に使ったホワイトノイズは検索キーに"white noise audio test"と入力し挙った下記を使った。
  https://www.youtube.com/watch?v=iEnRj1h9Deo

観測の結果は下の写真のようになった。低い周波数が落ち込む肩が55Hz位だ。
しかも低い周波数まで音量が極度に低下せず安定している。


下の写真のように対策前の肩は75Hzくらいだった。
しかも200Hzあたりからダラダラと下がっている、


ガスケットによる空気漏れ対策で再生下限周波数が20Hz下がり音量も安定した。
音の魅力が倍増した要因は、周波数特性の改善だった

FFTの結果が出たので、次にどの位の周波数まで自分の耳で聴こえるのか試した。
実験にはYouTubeにあるスイ-プ音源を使った。
その結果、音が聴こえる最低周波数は40Hz、充分な音量と感じるのは80Hzだった。
結果はFFTでの観測結果と概ね合っているが、若しかすると自分の耳の性能かもしれない。


実験の後でPavarottiの乾杯の歌/椿姫を聴いた。従前は全く魅力を感じなかったが、
素晴らしい歌声で聴き入ってしまった。その後にマリアカラスの美しい歌声も聞いた。
我が直立円筒バックロードホーンには再生が苦手な分野が無くなった。


36-3 ホーンの継目1段目にガスケット挿入     2022,12,08 実施
ゲルリングの隙間と、マウントと円筒の接合部にガスケットを挿入し大きな効果が見られた。
そこでホーンの継目1段目にガスケットを挿入した。

下の写真のようにホーンの1段目と2段目を切り離し、環状の細いガスケットを組み込んだ。
右側のホーンの上端内側に見える黒い腺がガスケットだ。
外した上部が倒れないように以前作った階段状擬似ホーンを置き台にした。


ホーンの継目の部分の隙間は0.1mm程度だろうと推定している。
僅かな隙間なので、ガスケットを入れても殆ど影響は無いだろうと考えていた。
ところが音楽を聴いてみると低音が増えていた。ちょっと驚いた。
しかし音の魅力は増えておらず、少し煩いような気がする

そこでスマホを使ったFFTで周波数特性を観測したところ下の写真のようだった。
低音は増えているが、高音とのバランスが崩れている。
防音室での観測ではないので誤差は大きいと思われる。
小さな山や谷に一喜一憂しても意味が無いが傾向は解ると考えている。


FFTの結果が出たので、次にどの位の周波数まで自分の耳で聴こえるのか試した。
実験には、前回と同様にYouTubeにあるスイ-プ音源を使った。
その結果、音が聴こえる最低周波数は34Hz、充分な音量と感じるのは75Hzだった。
最低周波数は従前に比べて6Hzも下がっているが、充分な音量の周波数は大差なかった。
結果はFFTと符合していた。

ガスケットによって空気漏れが減り低周波数側の再生能力が向上したと思われるが、
ホーンの負荷が増えてスピーカーユニットの駆動能力を超えてしまったのかもしれない。
原因は明確ではないが、スピーカーユニットの上から出る音と
後ろから出る音のバランスが崩れ以前のような音に魅力を感じないのだろう。
これでは困るのでホーン継目のガスケットを外して元に戻そうと考えている。

36-4 ホーンの継目1段目のガスケット取り外した     2022,12,14 実施
ホーン継目の一段目にガスケットを入れたら低音の再生能力は向上したが、
音が少し煩いように感じたのでガスケットを外した

聴いて見たところ低音が少し減ったように感じたが、音楽の魅力は改善された。
音楽に透明感があり聴きやすく気持ちの良い音で長時間聞いても飽きず疲れない。
楽曲の分野を選ばずに楽しめる。オーケストラもジャズもロックも良い。

iTunesにMilt Jacksonの古いCDを入れてある。タイトルは忘れた。
これが録音が古く従前は楽しめなかったのだが気持ちよく聴けた。
音が良くなった理論的な根拠が全く判らないが、難しいことは考えずに音楽を楽しもう。

36-5 空気漏れ抑制後の試聴会     2022,12,17 実施
友人2名を招いてホーン継目の一段目のガスケットを外した状態で試聴して頂いた。
聴いていただいた曲目はオーケストラから邦楽まで多彩だ。
5時間に亘って聴いていただいた結果、激賞された。たぶん忖度したのだろう。

そして商品として売り出すべきとの意見もあった。
しかし直立円筒バックロードホーンは分解しなければ輸送が出来ない。
倒すとフローティングマウントが外れて防振ゲルが脱落する。
逆さにすると仮想グランドとSPユニットが抜け落ちる構造だ。

それに直立円筒バックロードホーンが実力を発揮するには、
自作したOPアンプを使わないDACも必要だ。
しかし歳のせいかDACのような細かな部品を半田付けする作業は億劫になってきた。

面倒な事は考えずに音楽を楽しもう。

36-6 トラブル発生で再製作     2022,12,24 実施
いつもの様に音楽を楽しんだが、なんとなく右側スピーカーの低音が軽いような気がした。
点検したところ下の写真の様にインサートナットが浮き上がっていた。
一箇所だけではなく全5箇所が程度の差は在るが浮き上がっていた。

この部分は穴の大きさを間違えて設計した。それをエポキシ接着剤で誤魔化したのだ。
エポキシ接着剤はPETGに着かないらしく過日の脱着で緩んだようだ。
手抜き仕事が仇になった。
左側スピーカーは間違いを修正してから造形したので問題無かった。


応急修理で済ませようかとも考えたのだが、同じ間違いを繰り返さない為に作り直しを始めた。
下の写真は3Dプリンターで造形した様子だ。
従前と同じでPETGフィラメント、積層厚0.3mm、内部充填20%だ。


造形には約14時間を費やした。

36-7 再製作が完成     2023,01,17 実施
ホーンの部分の造形は3Dプリンターで簡単に済んだ。
そこへインサートナットを取り付けようとしたのだが、これが見つからなかった。
前回に使った余りが50個位は残って居る筈なのだが行方不明だ。
年末の大掃除で誤って捨てたのかもしれない。

仕方なく前回と同じ物をAliexpressへ発注した。
値段は100個入りで送料を含めて467円だった。
同じ物をamazonで買うと60個入りで910円だ。
Aliexpressで買うと単価は1/3だが21日間も掛る。時間は掛るが廉い。

品物は写真のような一辺が130mm程度の小袋で郵便受けへ届いた。
税金の請求は無かった。


このインサートナットをホーンの部分へ挿入し再製作は完了した。
近々取り付ける予定だ。

36-8 ホーンの修理完了     2023,01,21 実施
トラブルを起したホーンの下から4段目を新たに作った物と交換して修理は完了した。
下の写真で手前のテーブルの上に在るのが取り外したホーンの4段目だ。
調べて見たところ総てのインサートナットが緩んだのではなく一部だけだった。


修理が完了した直立円筒バックロードホーンで音楽を聴いたところ、
音に違いは感じられなかったが定位の位置が移動したようだ。
鮫島由美子氏の日本の歌を聞くと従前は2本のスピーカーの
中央より左に10cmのあたりで歌っているように聴こえた。
それが中央の空間から声が出る感じになった。
何も無い空間に音像が在るのは、ちょっと不思議な感覚だ。
右側のスピーカーの空気漏れが減り電気振動を音へ換える能率が向上し音量が増えたのだろうか。

その後、2時間に亘って音楽を楽しんだ。何故か最近は人の声が好きになった。
YouTubeには沢山の乾杯の歌/椿姫が収録されている。これらを片っ端から聴いてみた。
何れも研鑽を重ねた歌い手なので甲乙付け難いのだが、録音には違いがあった。
下の写真の森麻季氏の椿姫は歌も録音も良く、まるで目の前に舞台が在る様に感じた。<br />

37  パイプオルガンの試聴       ( ’23,01,28 実施)

これまで自作した直立円筒バックロードホーンでパイプオルガンの楽曲を聴いた事が無かった。
そこで鳴らしてみた。YouTubeには複数のトッカータとフーガがある。それらを順に聴いた。
何れも美しい音で楽しめた。我が直立円筒バックロードホーンはパイプオルガンも苦手ではなかったが、
重低音が少し軽い気がした。実物の演奏を聴いた事が無いので実際のところは判らない。

重低音の再生能力を強化するのは可能だが、SPユニットの上から出る高音とバックロードホーンの
下から出る低音のバランスが崩れる。バランスを保ったまま重低音を強化するのは困難と考えている。
この重低音については、何の対策も考えない。

同じ曲でも演奏者によって曲に違いが在るのが分かった。
しかしパイプオルガンによる器差は感じられなかった。笛の材質や寸法が規格化されているのだろうか。
自分は写真のロレンツォ・ギエルミ氏の演奏が好きになった。


38  本体振動の調査       ( ’23,02,04 実施)

一般にスピーカーボックスでは箱の振動が付帯音を発生させるので音質の大敵である。
直立円筒バックロードホーンでも同じだが、箱ではなく円筒にして強度を高めたり
SPユニットを浮動支持機構で支えて振動を減衰させるなどの工夫をした。

しかし今までに直立円筒バックロードホーンの振動を調べた事が無かった。
そこで聴診棒と呼ばれる道具を作り、これを使って本体に伝わる振動を調べた。
使い方は、下の写真の黒いゴムの部分を耳の穴に充て塞ぎ、棒の先端を対象部位に軽く押し付ける。


聴診棒を下の写真の様に当て、普段と同じ大きな音で鳴らして振動を音にして聴いた。


調査の結果は下記のようになった。大きな問題は無い様だ。

    ◎最上部の上下方向の振動
       音楽が聴こえた。浮動支持機構によって減衰している筈だが絶縁状態ではない。
       この部分から小さな音が出ているだろう。しかし実害は分からない。

    ◎上から一段目の水平方向の振動
        スピーカーの音が耳に直接漏れ伝わってくる音と、聴診棒を伝わって来る音が同程度の音量。
        微かな音で無音に近く音楽を汚さない程度の振動だ。
        SPユニットの振動は上下方向なので水平方向の振動は伝わって来ないのだろう。
        指先で触れると大音量の低音打楽器の振動は感じるが、
        試聴位置の前にある座卓の天板で感じる振動よりも小さい。

    ◎上から二段目の水平方向の振動
        聴診棒を伝わって来る音は感じなかった。下へ行くほど減衰しているようだ。

聴診棒による調査が終わってからロレンツォ・ギエルミ氏のトッカータとフーガを
三度も繰り返し聴いてしまった。音に含まれている演奏会場の残響がリアルで
直立円筒バックロードホーンを鳴らしている部屋が大きなホールのように感じる。素晴らしい。

39  最上部構造の変更を検討       ( ’23,02,24 実施)

先に行った本体振動の調査で最上部での上下振動が他の部位に比べて若干大きかった。
それが付帯音を発生しているようには感じないが、出ている筈だ。その振動が小さいほうが更に良い筈だ。
上下振動している最上部を上から見た面積を減らせれば僅かな付帯音も減らせる筈だ。
直立円筒バックロードホーンの音は素晴らしく充分に満足しているが、技術への好奇心から改良?を試みる。

そこで従来はSPマウント部とホーン部に分割していた構造を変えて一体化しようと考えた。
従前はホーン内部の寸法を変えて実験するために分割していた。
試行錯誤の末に最良な形に収斂したので分割する必要性が無くなった。

◎一次設計
下の図の様にSPマウントとホーンの最上段を一体で設計した。
これによって上下方向で振動する部位の面積が最小限になる筈だ。
床面からスピーカーユニットまでの高さやホーンの太さは従前と同じだ。
また一体化によってSPマウントとホーンの接合部からの空気漏れも減る筈だ。


設計を検証するために最上部だけを切り出して造形し間違いが無いか確認した。
SPユニットや防振ゲル、ガスケットも想定したとおりに嵌まった。


設計に間違いは無いと判断し全体を造形しようとSTLファイルをPrusaSlicer2.5.0へ読み込んだ。
いつもは設計物が緑色に表示されるのだが、何故か青色に表示された。
しかもSTLファイルをGコードへ変換しようとスライスボタンをクリックしたが反応しなかった。
そこで間違いに気づいた。設計物の高さが高すぎていたためPrusaSlicer2.5.0に拒否されたのだ。
使っているBear Upgrade Prusa I3は高さ210mm迄しか造形出来ない。それを10mm超えてしまった。
これでは造形できない。仕方ないので分割して造形し接着する方向で再設計する方針だ。


◎二次設計 2023,02,28
先の設計で自分が使っているBear Upgrade Prusa I3では造形出来ない高さだと判明した。
そこでスピーカーを支える台の部分とゲルを抑える輪を分割して設計した。
嵌る部分だけを造形し間違いを探した。Debug Printだ。
輪の直径は台よりも0.4mm太く設計したところ良い感じで嵌った。
台は青い部分で本来は白色にすべきだったが、白フィラメントの残量が少なかったので
沢山残っていた青を使った。本来の青の部分は209.5mmの高さだ。


これをホーンに載せて設計の問題点を探った。
下の写真でも判るが輪がスピーカーのフランジよりも2mm程高い。設計に齟齬があった。
奥に写っている左側のスピーカーが傾いているのは、スマホのカメラの歪みだ。
スマホのカメラも良く写るようになったが、まだ一眼レフには適わないようだ。


この二次設計のマウントをホーンに載せた状態で試聴した。
当初は機械的な整合を確認する目的で試聴は考えて無かったが簡単だったので鳴らしてみた。
低音の再生能力をYoutubeの無響室録・チェロで試したところ意外にも普通に鳴った。
しかも従前のマウントとの差異は感じられなかった。
正確には、もっと時間を掛けて聴かないと判らないようだ。

◎二次設計の造形完了 2023,03,05
先の検証作業で設計に問題が無いのを確認できたので3Dプリンターで造形した。
片側だけで白いホーンの部分は11時間、赤い部分は2時間を要した。
夜間は3Dプリンターを動かさないので全部を造形するのに2日間も掛ってしまった。

3Dプリンターは大変に便利な機械だが、造形に時間がかかるのが難点だ。
造形の前にノズルを新品へ交換したので従前よりも印刷ゴミが少なく良い仕上がりだった。
 

40  新SPマウントの組み込み       ( ’23,03,08 実施)

新たに製作した最上部(新SPマウント)を直立したホーンへ取付けた。実際には載せただけで何の固定もしていない。
外観は従前のSPマウントと比べてスリムになった。表面積を減らせば"箱鳴き”を低減できる?との発想だ。


早速新SPマウントを鳴らしてみた。殆ど従前のSPマウントと同じ音だが、高音に違いがあった。
高音の透明感が増し、華やかな感じがした。赤い環の部分が振動して鳴いているのかもしれない。
また低音が僅かに弱くなった気がした。振動の吸収に用いているゲルリングから
空気が漏れているのかも知れない。現時点では従前のマウントの方が心地良い音だ。


41  新SPマウントのゲル固定環交換       ( ’23,03,10 実施)

新しいSPマウントで高音が増し華やかに感じたのは、
赤いゲル固定環が共振して付帯音を出しているのではと疑った。素材はPETGで硬い。

そこでゲル固定環を振動が減衰しやすいと思われるゴム素材(TPU)で造形してみた。
下の写真でSPユニットの周囲に在る黒い輪がそれだ。
厚さを5mm程度で内部を表皮が1.2mmに設計し、中空にして振動が伝わりにくく作った。


音を出してみると高音の華やさ減っていた。やはり赤いゲル固定環が付帯音を出していたようだ。
ゴム素材(TPU)には大きな効果があった。SPユニットの振動が遮断されたようだ。
音の感じは、全体のバランスが向上したような自然な音で心地が良い。

御機嫌でYouTubeやiTunesに入っている楽曲を片っ端から聴いた。
何れも良い感じで楽しんでいたのだが、突然音が出なくなった。
調べた所アンプの過負荷保護機能が働きトリップしていた。
トリップする曲は何れも始まりが大音量の打楽器から始まっていた。
具体的には Dave BrubeckのTake FiveやCarpentersのThis Masquerade だ。
少し音量を下げればトリップしないのだが、自分は大音量で鳴らすのが好きだ。
アンプはTA2020-020のディジタルアンプで出力は最大20Wだ。
スピーカーを駆動する電力が20Wを超えてしまったのだろう。
スピーカーユニットの最大入力は30Wなので故障の心配は無い。

ゲル固定環をゴム素材(TPU)に変えた事でホーンの気密性が高くなり
低音に於ける電気的なインピーダンスが下がった事が原因と思われる。

42  新SPマウントのゲル固定環交換2       ( ’23,03,18 実施)

ゲル固定環の高さがSPユニットのフランジよりも2mm程高かった。
それが高音の拡がりに悪い影響を及ぼしているのではないかと疑った。
そこで2mm低くしたゲル固定環を作った。下の写真で右側が低くしたゲル固定環だ。
片側だけのモノラルだが、聴いてみると高音の拡がりが僅かに良くなった気がした。
結果が良かったので左側も低いゲル固定環へ換える予定だ。


43  新SPマウント完成       ( ’23,03,27 実施)

左側スピーカーのゲル固定環を右側と同じ高さの2mm下げた物に換え左右が揃った。
結果は想定した通り僅かに高音の拡がりが良くなったように感じた。
下の写真は現在のシステムの全景だ。パソコン以外は自分が作った。
ホーンの頂上に在るゲル固定環は黒色のゴムなので背後の吸音壁に埋没している。


その後3時間に亘ってYouTubeで音楽を楽しんだ。
YouTubeは視聴者が頻繁に見る動画を揃えて並べてくる。それを順番に聴いた。
日頃聴いている好みの楽曲ばかりが続いたので従前と同じ良い音で楽しめた。
2時間程度経過したころから普段は聴かない楽曲も出てくるようになった。

下の写真のジェームス・ボンド・メドレーは、従前は魅力を感じなかった。
これが良い感じで最初から最後まで楽しめた。何が変わったのか判らない。


ヨー・ヨー・マ氏のバッハ・無伴奏・チェロスイートも従前よりも良い感じで楽しめたのだが、
何が良くなったのか判らない。


44  2023年04月24日の状況

このところ直立円筒形バックロードホーンの音に満足している。今も主にYouTubeを楽しんでいる。
YouTubeは過去の履歴から自分が気に入った楽曲を出して来るからかもしれない。

そんな中で時折目新しい楽曲を登場させる。下の2CELLOSは演奏も録音も素晴らしく
Celloの迫力在る音を楽しませてくれた。弓で弦を叩く打楽器のような低音も魅力的だ。
我がスピーカーの低音は輪郭が鮮明で素晴らしい。


YouTubeには有名メーカーのスピーカーが奏でる音も収録されている。
JBL製のParagonの音を聴いてみた。我が直立円筒形スピーカーの再現能力は分からないが、
Paragonの魅力を再現しているように聴こえた。我がスピーカーがParagonに化けたようだ。
鮮烈な音ではないが、大変に心地の良い音で流石は名器だと感心した。

45  2023年05月18日の試聴

直立円筒形バックロードホーンは完成と呼べる状態になった。最近は工作をせず聴いて楽しんでいる。
先月はJBLのParagonの音を聴いて感心した。そこでYouTubeに在る他のスピーカーの音も聴いてみた。

下の写真のJBLのスピーカーが奏でるTOP GUN-Danger Zoneには感心した。
包みこまれるような立体的な臨場感が素晴らしい。心地良い音で何度も聞いてしまった。
またスピーカーが出す音を綺麗に録音する技術も素晴らしい。

その音を楽しめる音に再現する我が直立円筒形バックロードホーンもなかなかの性能だと溜飲を下げた。


そこでCD(VDV)からUp Loadしたと思われる音源でも鳴らしてみた。
スピーカーを経由しない音ならばJBLのスピーカーが奏でる音よりも更に変質が少ない
良い音が聴けるのではないかと期待したからだ。聴いたのは下のMusic Videoだ。


ところが、鳴らしたTOP GUN-Danger Zoneには魅力が全く無い。
音量をJBLのスピーカーと同程度にしても立体的な臨場感が無い。平面的な感じだ。
何故そのような事になったのか判らない。

疑わしいのは、Music VideoからYouTubeへ挙げる際に信号が劣化したのではと考えている。
この疑惑を探るためにTOP GUNのCDを入手しようとしている。CDが手元へ届いたら試す予定だ。

46  2023年05月25日の試聴

一昨日にヤフオクで廉く落札したTOP GUNのCDが届いたので、昨日に試聴した。
曲はアルバムの最初に在るDanger Zoneを聴いた。
その結果はJBLのスピーカーのような音は出ず、Music VideoからYouTubeに挙げられている
他のTOP GUN Danger Zoneと同じで立体感に乏しい音だった。


Music VideoからYouTubeへ挙げる際に音が劣化したのではという疑念は濡れ衣だった。
JBLのスピーカーには音楽を魅力的に聴かせる工夫があるようだ。

47  2023年05月30日の試聴

昔仕事で御世話になったオーディオ愛好家の先輩からB&D 800D4の音を聴くようにとの助言があった。

YouTubeを検索したところ複数ののB&Wの801d4の音が在ったが、
自分が聞いた事の無いジャズの楽曲ばかりで、システムが出す音を評価できなかった。

その中で下記の「D&M本社「澤田ルーム」でB&W D4を全部聞いてみた」が環境由来の雑音が無く良い感じだった。
しかも最後部にQueenAnother One Bites the Dust が在った。
自分はQueenが好きでCDを持っているので比較用には好適だった。

https://www.youtube.com/watch?v=SoeR9c0Bzdg


YouTubeで801D4の音を聴いてみるとCDとそっくりな音で鳴っていて驚いた。
つまりオーディオシステムでの音の劣化が感じられないのだ。

通常の箱型スピーカーでは程度の差が在るものの箱による残響が感じられる。
高額と思われる箱型スピーカーでも箱による残響を感じる。
ところが801D4には、その箱による残響が全く感じられない。素晴らしい。

801D4の外観を見ると箱が平行面を作らないように工夫している。
ウーファーの部分の箱の断面は三角おにぎりに近い形だ。
しかも天板を斜めにして上下方向の共鳴周波数を分散させている。
木質系の素材でこのような形を作ると製造コストが嵩むと思われるが、努力している。
採算度外視のような設計だが、それに見合う価格で売られているようだ。

それに素晴らしい録音技術だ。

実物の801D4は自分の直立円筒形バックロードホーンよりも強力なウーファーを
備えているので更に魅力的な低音を出しているのだろう。

良い音なのでYouTubeのAnother One Bites the Dust の部分だけ10回近く聴いた。
その結果、Freddieの声に僅かな違いが在るのに気づいた。801D4ではFreddieの声の鮮度が下がっている。
演奏を開始してから12分後にFreddieがAnother One Bites the Dustと叫ぶのだが、
他のメンバーが同時にAnother One Bites the Dustと歌っている。その部分が僅かに混濁している。

自分の直立円筒形バックロードホーンには、目の前で歌っているような生生しさが在るが、それを感じない。
たぶん801D4を鳴らした部屋の影響だろう。

48  梯子スピーカーケーブルの製作    2023年06月17日に実施

スピーカーケーブルは2本の電線の間に寄生する静電容量(コンデンサ)の為に高域減衰フィルタになっている。
つまり高音が弱くなっている筈だ。
これを小さく抑えることが出来れば高域の減衰を最小限に留めることができる筈だ。

寄生する静電容量を小さくする為には、2本の電線を接近させない事が重要だ。
そこで下の写真のように、2本の電線の間にスペーサを挟んだ梯子ケーブルを作った。


スペーサーはゴム素材のフィラメントを使い、3Dプリンターで造形した。
電線はAWG18のシリコンゴム被覆で線と線の間隔は20mmにした。
これはSPユニットの端子部の寸法に合せた。設計は下図の様になった。

電線は外形が2mmなのだが、穴は2.8mmで設計すると丁度よかった。


スペーサーに電線を通すのが面倒だったが頑張った。
電線の長さは3mでスペーサーの間隔は10cmにしたので片チャンネルに30個のスペーサーを使った。
製作には特に難しいところは無かった。

◎線間容量の測定  2023,07,01 実施
完成したスピーカーケーブルの線間容量を測ったところ、
直線状に延ばした状態ならば約36pFで下の写真の様に纏めた状態では約35pFだった。
ケーブルを曲げるとインダクタンスが増えて測定誤差を増やすようだ。


SPユニットをLCRメータで測ったところ3.8Ωで64.8μHだった。印加周波数は1KHzだ。

梯子ケーブルに、どの程度の効果が在るのか全く判らない。実験は暫く先になりそうだ。

このデーターをPrintablesにて開示した。

49  バックロードホーンの間違い  2023年07月13日実施

Youtubeにはバックロードホーンの作例が沢山挙げられている。
世の中の人々がどのようなスピーカーを作ったのかと興味が湧いたので片っ端から聴いてみた。

残念ながら好きになれる様な音は聴けなかった。
Youtubeに在る作例を聴き始めると、冒頭でこれは良い音だと感じた作品でも電気的な音楽の信号を
編集で挿入したBGMで肝心の作例のスピーカーの音になると乖離が大きくがっかりする作例が殆どだ。

とくに残念なのは苦労して蛇行音道のバックロードホーンを作ったのに低音が弱い作例が多い事だ。
それらの設計を見てバックロードホーンへの理解に間違いが在るのに気づいた。
殆どのバックロードホーンはホーン部に低音を増強する効果が在ると考えている。

Web上にはバックロードホーンの設計法を解説した記事が幾つかあるが、
そこに「ホーンは低音を強める」と書いてあった。
下の絵のようにWikipediaから引用した記事にも「低音をホーンによって増幅する」と書いてある。
まるで広周波数帯域共鳴器のように考えているようだ。


しかしホーン部に低音を増強する機能は全く無い
若しも増強できるのならば、それはホーンではなく共鳴管だ。
ホーンの機能は共鳴を起さずに音の拡散を防ぎ指向性を確保する。
音の拡散を防ぐので小さなスピーカーでも充分な低音が得られる。

ホーンでなく直管でも音の拡散を防げるが、共鳴を生じる。
この共鳴を抑制してバスレフのような効果を狙ったスピーカーもある。

Web上に見られるバックロードホーンには空気室(Air Chamber )と呼ばれる小部屋が
スピーカーユニットとホーンの間に挿入されている。これが曲者だ。



  上の図はhttp://telavox.web.fc2.com/backload.htmlより拝借しました

空気室はホーンから出したくない高音域排除用フィルタとして設けられているのだが、
排除したい周波数から空気室の寸法を計算するので小径のスピーカーユニットでは
相対的に大きな空気室となる。その為に空気室の中で低音が拡散し充分な低音の量が得られない。

その過剰に大きな空気室を工夫すれば小口径のスピーカユニットでも充分な低音が得られるだろう。
我が直立円筒形バックロードホーンには空気室が無いので充分な低音を出すのに成功した。

50  パソコンを入れ替え  2023年07月26日実施

今まで使っていたDell製のラップトップパソコンが壊れた。リース戻りの中古品にSSDを載せて使っていた。
裏蓋を開けてみたのだが故障部位が解らず修理できない。仕方なく遊んでいたパソコンを音楽用に使う事にした。

今度のパソコンもDell製で17インチのLCDとパソコンが一体になっている。OSはWindows7でCPUはCore2 Duoだ。
壊れるまで使っていたパソコンはCore i5でWindows10だったので、それに比べると処理速度が遅い。
買ってから随分と時間が過ぎたが、殆ど使っていないので劣化は少ないと考えている。もちろんHDDをSSDへ換装した。
これでYouTubeを見ながら直立円筒形バックロードホーンを鳴らせるのか心配だったが、音楽を楽しめた。


肝心の音は少し変わったように感じた。
目の前にある衝立のようなLCDパネルを迂回した音を聴くので定位が低下した。
LCDパネルを机の端まで遠ざけたところ影響は軽減されたように感じた。

YouTubeを視聴する際に画があるので従前に比べて楽しく感じる。
音楽を聴く際に画は不要と考えていたが画が在ったほうが良い感じだ。

51  究極のオーディオチェックcd2023  2023年08月25日実施

YouTubeを見ていたら「究極のオーディオチェックCD2023~パーカッションの響き」と言うのが在った。
早速聴いてみたら素晴らしい音だった。録音の風景を収録したものらしく各種の打楽器の演奏が記録されていた。
どれも素晴らしく自分の目の前で演奏されている様な音がでた。録音に部屋の残響が含まれている。
その残響がステレオで再生されるので演奏している部屋で聴いているような心地良い録音だ。
鮮烈で立体的な音が鳴って嬉しくなった。


このYouTubeはstereo詩の広告だった。動画の最後に雑誌の広告が表示された。
YouTubeの音が素晴らしかったので雑誌の付録のCDも素晴らしい音だろうと期待した。

雑誌を入手すべく近くの駅ビルに在った本屋を久々に訪ねたら店が閉じていた。
改装なのか閉店なのか判らない。
仕方なくamazonで調べたら残り三冊との事だったので注文し入手した。


雑誌が届いたが読まずにCDをiTunesへ移し聴いてみた。
頭のほうはオーディオシステムを試すホワイトノイズや各種の電気信号が入っていた。

音楽が入っていたのは中頃からだった。聴いてみてガッカリした。
CDではその鮮度が低下し耳障りの良い音に作り変えられている。
楽器の音は解像度が低下し由来のわからない残響が含まれている。
とても同じ音源を記録したとは思えない音だ。どこが究極なのか判らない。

罵詈雑言を並べるのは精神衛生に良くないと思われるので、これで終わりにする。

52  直立バックロードホーンの二号機完成  2023年11月26日実施

二台目の直立バックロードホーンを作った。完成したので試聴室に運び込み二台並べて設置した。
設計は殆ど同じだが、二台目はスピーカーケーブルに梯子ケーブルを使った。
これで若干高音が伸びるのではと期待している。

設置したばかりなのでSPユニットが成熟してないが、一台目とそっくりな音が出ている。
しかし僅かにシンバルのシャリシャリ感が美しく、高音が華やかに感じている。


スピーカーケーブルは下の写真の様に黒色電線と赤色電線の間にスペーサーを挟んだ梯子ケーブルだ。
ケーブルは柔らかなシリコン電線で、スペーサーは3DプリンターでTPU素材を成形した。


この機会にパソコンを入れ替えた。壊れた以前のパソコンの代わりに手持ちの古いパソコンを使ったが、
遅くて使い辛かった。速いパソコンに慣れてしまったので遅いCore2Duoは辛い。

そこでCorei5を搭載したリース戻りのパソコンをヤフオクで入手した。
これにiTuneを導入しCDを読み込ませるのに手間が掛った。
パソコンは1.65万円だった。これで快適に音楽を楽しめる筈だ。

53  スピーカー保護カバーの製作と試聴  2023年12月15日実施

直立バックロードホーンのSPユニットは、ホーンの最上部に在り音楽を鳴らしているとコーンがピョコピョコと上下に動く。
その動きが興味をそそるらしく触ってみたくなるらしい。触るとコーンの中央に在るキャップが凹んだりする。

そこでSPユニットを守るために保護カバーを製作した。もちろん総て3Dプリンターで造形した。
構造は下の写真の様に音の反射を最小にすべく工夫した。


下の写真の様に完成した保護カバーを直立バックロードホーンに取り付けて試用した結果、
音への影響は感じられなかった。格好が良いとは言えないが保護は出来る。

 先日完成した直立バックロードホーン二号機の慣らし運転を継続している。
音は一号機と聞き分けられない程に成熟した。
殆ど同じ設計なので同じ音が出るのを確認できた。

好奇心から中国製のディジタルアンプを買ってみた
Nobsound NS-01G Proと言う機種で価格は驚きの¥3,990-円だった。
購入の動機は小さくシンプルで自分には不要な機能が無い点が好ましかったからだ。

さっそく直立バックロードホーンに繋いで鳴らしてみたらガッカリする音がでた。
内蔵されたBluetoothとDACを使った場合に音の劣化が大きかった。
自作したDACに繋いで鳴らすと少し良くなってディジタルアンプアらしい癖の無い音が出たが、
高音と低音が弱く音楽を楽しめるレベルではなかった。価格相応の音だと思う。


改造して音が良くなる可能性があるのか検討する予定だ。

54  スピーカー保護カバーで音質向上  2024年1月20日実施

音源に使っているパソコンを昨年の末に替えた。以前のパソコンが故障した為だ。
今度もリース戻りの中古品で1.6万円だった。Dell製でCore5、4コア4スレッドでSSDが250GBだ。
それをWindows10で動かしている。音源としては充分な性能だ。

そのパソコンにiTunesをインストールして手持ちのCDを読み込ませている。
作業を行うと昔に買ったCDで殆ど聴いてない物が沢山あった。
それらを片っ端から聴いてみた。

その中でウラディミール・アシュケナージ氏がピアノで演奏した展覧会の絵が良かった。
以前の円筒形スピーカーでは全く魅力を感じなかったのだが、直立バックロードホーンでは
良い感じで冒頭のプロムナードから末尾のキエフの大門まで楽しめた。

その展覧会の絵を聴きながら過日に作ったスピーカー保護カバーを着けたり外したりして
音に対する影響を再評価した。約一ヶ月前に行った評価では着けたときと外した場合で
差異はないとの結論だったが、今回の試聴では着けた場合のピアノが僅かに魅力的に感じた。
弦をハンマーで叩いた際の衝撃音がリアルだった。



音が良くなった理由はスピーカー保護カバーによって高音の拡がりが改善された為と考えている。
直立バックロードホーンではSPユニットが上を向いている。
その為に球形の指向性が作られるが、周波数が高くなると熱気球のような形の指向性になり
水平方向へ届く高音が弱くなってしまう。スピーカー保護カバーによって指向性の形成が阻害され
高音が拡散されるのだろう。

55  スピーカー保護カバーで音質向上の2  2024年1月24日実施

まだ正月なので今年初めて邦楽の春の海を聴いた。
箏の村田章子さんと尺八の山本真山さんによる素晴らしい演奏だ。

先日の試聴以降はスピーカー保護カバーを着けたままにしていた。
その状態で聴くと琴と尺八の音色がスピーカー保護カバー無しの場合よりも魅力的に聴こえた。

琴と尺八の音が生々しい。箏は弦を爪で弾く際の衝撃が鮮明で、尺八は掠れる感じが自然だ。
この部分には周波数の高い成分が多く、スピーカー保護カバーにより音の拡がりが大きくなったと思われる。


56  デジタルアンプを入れ替え  2024年3月28日実施

直立円筒バックロードホーンを鳴らすのに使っていたTA2020アンプをTPE3116D2アンプへ替えた。
電源に電動工具用のLi二次電池(リチューム電池)を使った。TPE3116D2アンプはD級で電力能率が高い。

TA2020は15年程昔のICだ。最近のICに興味が湧きTPE3116D2搭載のアンプ基板を買って周辺部品を取付けた。
回路を改造しカップリングコンデンサを替える等の改良を加えた結果TA2020アンプを凌ぐ音になった。
詳しくは製作記事を見て下さい

下の写真で白い箱がアンプで載っている黒い塊がマキタ互換の中国製Li二次電池だ。


下の写真は試聴の様子だ。使わない機材は片付けたのでスッキリした。
アンプの後方に見える青と白の小箱は、かつて自作したDA変換器だ。


聴いて見た所、主に低音の駆動能力が優れていた。

Queenの We Will Rock You  では曲の冒頭にメンバー全員が床を踏み鳴らすが、
それが自分の部屋で踏み鳴らしているようで振動が伝わる。
またアシュケナージ氏がピアノで演奏した展覧会の絵では、鍵盤を叩く感じの低音が力強く魅力的だった。

TPE3116D2デジタルアンプをLi二次電池で駆動した相乗効果で強力な低音再生能力を獲得したようだ。
TPE3116D2デジタルアンプは直立円筒バックロードホーンの能力を上手く引き出している。

57  デジタルアンプ入れ替え後の試聴その1  2024年4月11日実施

ディジタルアンプをTPE3116D2デジタルアンプへ入替えてから2週間が過ぎ、その間に7時間ほど音楽を聴いた。
殆どの楽曲で低音が強化されたのだが、低音以外にも魅力が増した演奏があった。

ヘンリク・シェリング氏のソロバイオリンによるソナタとパルティエータが好きで良く聴く。
アンプを入替えてから初めて聴いたのだが、素晴らしい演奏だ。
このCDは録音も素晴らしくお気に入りだ。そのバイオリンの音色が従前よりも生々しく感じた。

従前のTA2020アンプに比べてTPE3116D2アンプは音の諧調が細かくなっているようだ。
若しくはLi二次電池で駆動した結果、ダイナミックレンジが広がった影響だろうか。


またカーペンターズの演奏でもカレン・カーペンター氏の声が従前よりも生々しく聞こえた。
理由はヘンリク・シェリング氏のソロバイオリンによるソナタとパルティエータの場合と同じ理由だろう。

先日まで使っていたTA2020デジタルアンプは15年程度昔の技術だ。
15年の間に技術が進歩しTPE3116D2デジタルアンプで音質が向上した。
しかも驚くほど安価に売られている。僅かな投資で済む素晴らしい技術だ。

58  デジタルアンプ入れ替え後の試聴その2  2024年5月1日実施

ディジタルアンプを入替えてからピアノの演奏が好きになった。
TPE3116D2デジタルアンプで鳴らすピアノの低音が心地良いからだろう。

アシュケナージ氏がピアノで演奏した展覧会の絵を聴いて展覧会の絵が好きのなった。
Youtubeには複数のピアノによる展覧会の絵が在る。それらを順に聴いてみた。
その中でEngeny Kissinが弾く展覧会の絵が演奏も録音も素晴らしかった。ピアノの音色も素敵だ。

毎回Youtubeで Kissinの頁を開くのは面倒なので中古のCDを入手しようとヤフオクを探したのだが、見つからなかった。
しかしHorowwitzが弾く展覧会の絵が500円で売られていたので落札した。到着が楽しみだ。